恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#104】「私は彼を愛してる?私は彼と結婚したい?」対話の中で出した彼女の答え

  • 更新日:2019/08/09

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前回のあらすじ:夏美はチュベローズからの返信を読みながら、自分の選択をどうするか、ただただ向き合っていた。 「弘を選択する」という結論を一旦出してみると、今ある問題が牙を向き、夏美をブルブルと震わせる。 怖すぎて思わず楽しかった幸太との思い出なんかを味わったりしている自分に気づき、再び「弘を選択しない」という想像を巡らせる。 もう恋愛できないかもしれない。寂しくて毎日後悔するかもしれない。結婚ももちろんできないかもしれない。そう思うと、不安が湧く。でも、心は妙に晴れ晴れとしている自分にも気づく。 「こっちの方がいいかもって思い始めてるじゃん」 自分にそう声をかけると、1本筋が通るような感覚があった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第104話:「私は彼を愛してる?私は彼と結婚したい?」対話の中で出した彼女の答え

愛されたかったら、まずは自分を愛すること。

幸せになりたかったら、自分を幸せにした上で、相手を幸せにすること。

覚悟を持ってもらいたければ、自分が覚悟を持つこと。


「で、考えてくれた?」

日にちが経過し、再びの話し合いの場が持たれる。弘は「もう洗いざらい話したんだから、お前はどうすんだ?」とでも言いたげな態度だ。

「うーん、ごめん。正直、まだ迷ってる」

しばらくの沈黙のあと、弘はちょっと面倒そうな声色で「そっか」とつぶやく。


「ねえねえ、私、もう1つ聞きたい事があるんだけど……その、なんていうか、セックスずっとしてないことについては、どう思ってるの?」

セックスという単語をこんなにも色っぽくない場面で自分の口から発するのは、そういえば初めてだ。

そう気づいたら、とたんに羞恥の気持ちが湧き上がる。大事な話しなのに。なんだか自分がふしだらな女なのではという申し訳なさも感じる。

「違う違う大事なことなんだ」と、心の中で打ち消しながら、弘に向き直る。


「えーあーんー……と」

弘は夏美の心を代弁するかのような、バツの悪そうな顔をする。

自分と同じだな。と思いながら、じっと彼の言葉を待つ。

「正直さ、そんな大事かな?俺、びっくりしてるんだよね。夏美がめっちゃ悩んでたこと」

「え?」

こめかみをぽりぽりとかきながら、弘はそう話し出す。

「確かに言われてみれば頻度は下がっていたけど、俺言うほど不満もなかったし。そもそも夏美は家に居ないことも多いし。夏美のこと嫌いってわけじゃないんだよ」

「嫌いってわけじゃない……」

弘の言葉を反すうしながら、夏美はなんで弘がこんな気持になるのかを探ってみる。

とっさに出てくる言葉が「好きだよ」じゃなく「嫌いってわけじゃない」それは何かを象徴しているようで、その何かがまだ掴みきれない。


「ねえねえ、凄いさ、私の勝手な妄想なんだけど、その学生時代の彼女を引きずってるってことは、ない?」

「え?それは無いよ。向こうが何してるか全然知らないし。浮気とか疑ってる?」

「いや、そうじゃないよ。聞いただけ」

答えをもらった直後、正直分かりやすく別の人に気持ちが流れていたらどれだけ楽か…と考えてしまった。でもそう都合よくいかないものなのだ。


結婚しようという2人なのに、お互いがお互いを愛していない。愛そうとしていない。お互い「嫌いってわけじゃないけど」の温度感を共有し続け、ここまで来たんだな。

夏美の中で、理解と結論がパキッと定まる感覚が湧く。

もう、後戻りはできない。どちらも真正面から見ていないなら、まずは自分から覚悟を決めなくてはいけないのだ。

第104話

「ねえ弘、私決めた」

「うん。何を?」

「私、北京へは行かない。結婚も、しない」

言い終わったあと、部屋の中なのに少しだけスッと風が入ってくるような、不思議な感覚があった。



NEXT ≫ 第105話:北京には行かない!結婚もしない!出した答えの理由とは



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第99話:彼女の「把握したい」その感情はワガママ?それとも誠実さ?


第100話:彼氏が隠していた借金の本当の理由が明かされる


第101話:起業失敗の裏にあった真実!意外すぎる彼氏の過去にどう向き合うか


第102話:私より彼女が好き?相手の気持ちが不安なとき1番大切なこと


第103話:彼を選択するのか?しないのか?自分の心と向き合って出した答え



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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