恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#99】彼女の「把握したい」その感情はワガママ?それとも誠実さ?

  • 更新日:2019/07/22

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:「北京について行きたくない理由は……」 夏美は勇気を出してその理由を彼に伝える。海外生活に慣れていないとか、仕事を辞めるのが不安とか、当たり障りのないジャブのあと、「借金は……」と重い話題に触れていく。 弘が返すと言った200万円の借金はどうなっているのか。夏美が専業主婦になっても変わらず返していけるのか。信じると言ってあれ依頼話題に触れていなかったが、結婚するなら把握し、二人で計画を立てたい。夏美は弘にそう伝える。 そしてずっと続いているセックスレスの問題にも……。一気に話したあと弘をみると、うつむいたまま返事がない。一瞬の後悔と、伝えられた安堵の気持ちで、夏美は少しだけとまどっていた。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第99話:彼女の「把握したい」その感情はワガママ?それとも誠実さ?

なかなか目線を上げない弘に、夏美はドキドキを募らせていた。

怒っているのか。考えているのか。

ポーカーフェイスの彼からは想像ができない。

いや、想像してはいけないのだ。想像は全て無駄。聞くことで、関係を深めようと今自分は決めたじゃないか。


「今……何考えてるのか、教えて」

夏美は弘に問いかける。思っていた以上に小さい声しか出ず、先程の止まらない蛇口状態の本音との差に、少し笑えてくる。

「えっと……」

ポリポリと頭をかきながら、弘は姿勢を少しただす。

「まずさ、何で言われなきゃいけないのって思うよね」

「え?なんでとは?」

第一声の意外な言葉に、夏美はキョトンとする。


「俺さ、お金の事は心配しなくていいって言ったのに、今やっぱり聞きたいってことは、ずっと信用されてなかったってことだよね?」

「信用してないわけじゃないよ」

「でも俺からすると、そう感じたよ」

「信用してないわけじゃないけど、でも結婚するなら経済状況は把握したいって思う」

「それだよ。その把握したいっていうのは夏美の希望じゃん。俺の希望はどうなるの?」

「俺の希望って?」

「だから、借金には触れてほしくないって希望だよ。きちんと返してるんだから、それじゃダメなの?」

「ダメじゃないけど、じゃあ私が仕事をやめても、変わらずお金は返していけるの?」

「多分……」

弘の口調が一気に弱まる。直感的に、「何もまだ具体的に試算していない」という事実がひしひしと伝わってくる。


「私ね、仕事も好きだけど、辞めないことで生活を支えていけているって自負もあるの。だからそんな頑なに一人で背負わないでほしいし、やっぱり結婚するなら2人で計画を立てていきたい」

「………考える」

弘がおもむろに立ち上がろうとするので、夏美は「どうしたの?」と思わず弘の袖を引っ張る。

第99話

「とりあえず、話し合うは終わりでいいんでしょ?」

ぶっきらぼうな返事が返ってきて、目線が合った瞬間硬直しそうになる。

このまま終わらせたい。もう無理だ。

そう思って仕方がなかったのに、口から出たのは違う言葉だった。


「……いや待って、終わりじゃないよ」

「え?」

「私、またよく分からない。借金には触れないで欲しいって気持ちは分かるけど、どうして聞かれると『信用されてない』って気持ちになるの?私は弘を信用したから、今まで生活も支えていたし、これからも支えたいって思うんだよ。だから、共有しただけで『やっぱり信用されてない』って一括されるの、納得できない」

弘が今度はキョトンとした目を夏美に向ける。

「お金の話しじゃなくて、弘がどうしてそんなに怒ったり怯えたりするのか、きちんと聞かせて欲しい。あと、セックスレスの話しも、まだ終わってないよ」

夏美はありったけの気合を込めて、弘を見つめる。その眼差しには、“覚悟”が宿っているような気がした。



NEXT ≫ 第100話:彼氏が隠していた借金の本当の理由が明かされる



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第94話:ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと


第95話:『彼と私の幸せに力を注ぐ』実は簡単で難しいコミュニケーションの深め方


第96話:「もしかしてマリッジブルー?」心配の裏にあるのは愛か、それとも世間体か


第97話:しっかり向き合おう!決めた時見えた彼の心は、実は自分と同じ!?


第98話:仕事を辞めたくない!海外には行きたくない!初めて語る本音に彼氏の反応は?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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