恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#98】仕事を辞めたくない!海外には行きたくない!初めて語る本音に彼氏の反応は?

  • 更新日:2019/07/21

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前回のあらすじ:転勤にはついて行きたくないけど、弘のことは好きだから結婚もしたい。 支離滅裂とは分かっていても、夏美は本音で向き合っていく。しかしそんなストレートなやり取りに反して、弘の口から出てくる言葉は、「恥ずかしい」「常識的に考えて」「普通じゃない」といった、彼の価値観ではない言葉だった。 「ああ、これは私と鏡なんだ」 弘を見ていると、夏美は1つの答えを導き出す。弘の他者を気にした価値観は全て、少し前の自分が抱いていた価値観と同じなのだ。だからこそ、本当の彼が見えない気がするし、本人がそれに気づいていない事も分かる。 ああ、私達は同じ問題を抱えていたんだ。そう気づいた夏美は、弘に「結婚がしたいのか、それとも私と結婚したいのか?」と問いかけるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第98話:仕事を辞めたくない!海外には行きたくない!初めて語る本音に彼氏の反応は?

本音というのは、使い慣れていない蛇口みたいだ。

ひねれば出るけど、一度出すと自由にとめられない。

水浸しになって困るのは、私か、それとも彼か。


「私が北京に行きたくない理由は……」

散々考えたはずなのに、いざ弘を前にすると言葉が出ない。

「まず、海外の経験がほとんどないし、仕事を急に辞めるっていうのも、現実感がないっていうか。あと、不安も大きいし…」

どれも言っていて、自分自身がピンと来ていない。確かに理由ではあるものの、ドロリとした本心が他にあることは、夏美自身もわかっていた。

「不安は一緒に考えればいいし、仕事は辞めなきゃいけないけど、例えば北京いる間は趣味とか勉強とかに使ってもいいんだよ。日本に戻ってきたら再就職だってアリだと思うんだけど」

「まあ、そうだけど……」


違う。そういう話をしたいんじゃない。

でも、これを言ったら不機嫌になるかもしれない。関係が終わるかもしれない。そう想ったら、胃がぎゅうううと縮まる。

第98話

「あとはね……やっぱりお金のことを考えると不安になる」

「お金?」

「弘の……その借金の事。返してるから心配いらないって一旦は納得したけど、結婚となると、お財布は一緒になるわけでしょ?一緒な上、私は仕事を辞めて無収入になっちゃうよ。それってお給料がちょっと上がっただけで平気なのかな?」

「……」

「あとどのくらい残ってるの?一人のお給料で返済していけるの?試算してる?」

「……、だいじょぶだよ……」

「大丈夫っていう言葉は信じるよ。信じたいけど、環境が変わるんだから、きちんとお互い不安材料は見せあって話し合いたいの。あと……」

「あと?」

弘の声色に、不機嫌さが含まれる。

だけど夏美の勢いは、もう止まらない。

「私、もうずっと弘とちゃんとシてない」

「え?何?」

「……セックスを」

「え!?」


「最後にしたの、いつか覚えてる?」

「ちょっと前じゃない?」

「あのね、もう3ヶ月も前なの。それも寝る前にサッて。じゃあその前はいつか覚えてる?」

「え……」

「覚えてないでしょ?覚えてないよね。私達本当に全然ずっとシてないんだよ。それなのに結婚して、この先本当に上手くやっていけるのかな?」


「…………」

弘はうつむき、夏美と目線を合わせない。

夏美も弘をきちんと見つめることができない。

言いすぎた。

そう思うものの、同時に言えたという安堵の気持ちが広がり、夏美を少しホッとさせる。

ただ目的は「言うこと」ではなく、「話し合うこと」なのだ。

一体どうなるのか。唇を噛み締めながら、夏美はうつむいた視線を上げるのだった。



NEXT ≫ 第99話:彼女の「把握したい」その感情はワガママ?それとも誠実さ?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第93話:友人にも言えない不安が溜まりついにカラダに変化が!?


第94話:ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと


第95話:『彼と私の幸せに力を注ぐ』実は簡単で難しいコミュニケーションの深め方


第96話:「もしかしてマリッジブルー?」心配の裏にあるのは愛か、それとも世間体か


第97話:しっかり向き合おう!決めた時見えた彼の心は、実は自分と同じ!?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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