恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#97】しっかり向き合おう!決めた時見えた彼の心は、実は自分と同じ!?

  • 更新日:2019/07/16

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:「北京、どうしても行かなきゃダメ?」勇気を振り絞って声にだすと、弘の心配そうな顔が目に入る。何度も行きたくない理由を言葉として構成してきたはずなのに、本人を前にすると「やめたい」の4文字をハッキリ言えない自分に、夏美は弱さを覚える。 「でももう会社に届け出ちゃったからなあ」 弘から帰ってきた答えは、意外にもドライで、そして世間体を気にするものだった。 「今から変更するのはちょっと恥ずかしい」 弘の本音と対峙したとき、夏美はなんだか得も言われぬ恐ろしさを覚えてしまうのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第97話:しっかり向き合おう!決めた時見えた彼の心は、実は自分と同じ!?

「夏美はどうしたいの?」

弘の穏やかな、でもあきらかに焦りやトゲを隠し持った声が聞こえる。

「私は……仕事を辞めたくない。結婚もしたいけど……弘と結婚もしたいけど、やっぱり、海外には行きたくない」

「そんな子どもみたいな駄々こねられても」

「子ども?私そんなおかしい?」

「おかしいでしょ。常識的に」

常識的に。という単語に、こめかみが一瞬ピクリと反応する。


「たとえばさ、2~3年で帰ってこられるなら、別居婚でもいいのかなと思ったりしてるの。北京なら週末ですぐ行けるしさ」

「新婚から特別な理由もなく別居なんて、普通じゃないでしょ」

「普通じゃないか……そうか……」

恥ずかしい。常識的に。普通じゃない。どの言葉をとっても、なんだか弘の本心とはかけ離れた理由にしか聞こえない。

どうしてそんなに頑ななのか。まるで少し前、結婚に一直線だった私みたい。

第97話

「……あ!」

「え?なに?」

夏美はひらめきを捉えた瞬間、快感と絶望をすぐに感じることができた。

弘は、同じなのだ。

結婚したい。誰とするかより結婚がしたい。常識的で、周りに祝福されて、安定した結婚。それをしたいと願っていたあの時の私みたいに、弘も結婚がしたいのだ。

だから別居婚は常識的におかしいし、スタートから2人揃って手を取り合えないことが恥ずかしいのだ。それに気づくと、コトンと音を立てながら状況が腑に落ちる気がする。


「弘は、私と結婚がしたいの?それとも結婚して幸せになりたいの?」

「え?何それ?どうしたの急に」

「私と結婚がしたいなら、きちんと私をみて。私も弘をちゃんと見るから」

「いきなり変だよ!夏美と結婚がしたいし、結婚して幸せにもなりたいよ」

「じゃあ私が北京に無理してついていって、幸せじゃなくてもいいの?」

「なにそれ?脅し?」

「違うよ。お互い希望をぶつけるだけだったら、幸せになれないと思うの。だからどうして北京が嫌なのかも聞いて欲しいし、絶対一緒じゃなきゃいけない理由も教えて欲しい」

「じゃあどうして北京が嫌なの?」

「それは……」

夏美は恐怖で言葉が続かない自分を、深い息とともに切り離し言葉を紡ぎ始める。



NEXT ≫ 第98話:仕事を辞めたくない!海外には行きたくない!初めて語る本音に彼氏の反応は?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第92話:楽しそうな彼に比例する彼女の落ち込み。なぜ一緒に幸せを感じられないのか?


第93話:友人にも言えない不安が溜まりついにカラダに変化が!?


第94話:ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと


第95話:『彼と私の幸せに力を注ぐ』実は簡単で難しいコミュニケーションの深め方


第96話:「もしかしてマリッジブルー?」心配の裏にあるのは愛か、それとも世間体か



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

この記事がいいと思ったら
いいね!しよう

Related関連記事

Pick Up編集部ピックアップ

Rankingランキング

#tag