恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#96】「もしかしてマリッジブルー?」心配の裏にあるのは愛か、それとも世間体か

  • 更新日:2019/07/16

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前回のあらすじ:『やっと言えて良かったですね』 夏美の不安をよそに、意外にもチュベローズからの返信は優しく、そして称賛から始まった。一体どういうことか読み進めると、コミュニケーションを深めるとは、本音を打ち明け、共有し、そこからお互いどうするか話し合うことで生み出されるものだと書かれている。 期待や命令をせず、彼と自分の関係を良くすることだけに力を注ぐ。その心があれば、本当の意味でコミュニケーションは深まるという。 チュベローズからの返信を読み終わると、夏美の心はスッと晴れていくような、向き合おうというエネルギーに満ちていた。 「神さま、どうか上手くいきますように」 夏美は深呼吸し手を合わせ、うまくいくように祈るのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第96話:「もしかしてマリッジブルー?」心配の裏にあるのは愛か、それとも世間体か

「ねえ、私、北京どうしても行かなきゃダメかな?」

ゆっくり、というよりおずおずと。声は限りなく小さく謙虚に。夏美は弘に向かって問いかける。

「え?なに?」

スマホを見ていた弘の手が止まる。

「私、北京行き、ちょっと先延ばしにしたいっていうか……ちょっと準備が……」

「なになに?どうしたの急に?」

心配そうな顔の弘と目が合う。こんな顔、久々に見た。ちょっとだけ嬉しさを感じる自分に、一瞬で罪悪感が覆いかぶさる。

「あのね、本当言うと、凄い不安なの。結婚は嬉しいよ!弘と一緒にいたいって気持ちはあるんだけど……でも生活をその、一新するっていうのが、改めて考えると……仕事も辞めたくないし…。慎重になってもいいのかなと思って」

「北京に行くのは、やめたいってこと?」

「………急いで行くのは、できれば……」

自分で「やめたい」って言えないあたりに、なんとも言えない弱気さを感じ、ああと思う。

次に弘と目があったとき、その顔は先程の優しい心配そうな顔から一変し、眉間にシワがより、緊迫感を漂わせている。

第96話

「どうして、急にそんなこと……あ、もしかしてマリッジブルーって奴なの?」

「そうかも知れないけど、でもきちんと考えて言ってるんだけど」

笑えない冗談に、場の空気が一層冷たくなる。なんども不安を言葉に変換してきたのに、本人を前にすると上手くいえない。そして、弘は今なにを思うのか。

「参ったな…もう会社に報告しちゃったしな」

「え?」

「ほら、結婚して海外での2人暮らしになるから、会社に届け出たんだよ。結婚祝いとか家族手当も出るっていうし」

「あ、うん……」

そんな事、今まで一言も言ってなかった。それに、申請を出しているということは、プロポーズを受けた時点で、私がすぐに仕事をやめてついていくことを想定していたということだ。

確かにプロポーズは受けたけど、確かに一緒に最初からついていくのが普通だけど……なんだか勝手に事を進められているような。

モヤモヤと頭の中に割り切れない思考が浮かぶ。

「何が不安なの?正直、今から行かないってなると、申請もそうだけど、なんていうか、恥ずかしいかも」

「恥ずかしい?」

「だってさ、結婚して一緒に転勤するってもう言ってて、おめでとうとか言われてるんだよ」

「う……うん」

「なんだか先行き怪しいのが、モロバレって感じで嫌だな」

先行き怪しい。お互い認識しているから話し合っているのに。このままやり通そうとする弘の姿勢に、夏美はなんだか得も言われぬ恐ろしさを覚えてしまうのだった。


NEXT ≫ 第97話:しっかり向き合おう!決めた時見えた彼の心は、実は自分と同じ!?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第91話:「ねえ、夢ってなに?」本音で彼に問いかけると意外な答えが…


第92話:楽しそうな彼に比例する彼女の落ち込み。なぜ一緒に幸せを感じられないのか?


第93話:友人にも言えない不安が溜まりついにカラダに変化が!?


第94話:ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと


第95話:『彼と私の幸せに力を注ぐ』実は簡単で難しいコミュニケーションの深め方



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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