恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#94】ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと

  • 更新日:2019/07/08

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:友人たちの飲み会では、「なんか痩せた?」と心配される。思わず「準備が大変で」と濁すと、当たり障りのない称賛の後、話題はすぐに切り替わる。周りの人に不安をわかってもらいたい。誰かに気づいてもらいたい。そう思うほど、周りはわかりやすく祝福してくれるのが辛かった。 そんなとき、先日結婚式を迎えたばかりの友人が、夏美に声をかける。「私の頃は幸せすぎてお花畑だったのに」そう聞くと、いかに自分がおかしいかがわかる。 「あれ、ちょっと待って!」目を丸くして友人が夏美の頭を凝視する。「ねえ、10円ハゲあるよ!」衝撃の発見に、夏美は驚きを隠せなかった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第94話:ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと

ストレスは知らず知らずのうちにカラダを蝕む。

でもどのストレスから不調が来ているか、厳密にはわからないもの。

第94話

手鏡を持ち、大きな鏡に向かい、あーでもないこーでもないと夏美は角度を変えて自分を観察している。

その姿がなんて滑稽な……と思いながらも、肉眼で確認しては「ハア」とため息をつき、今度は指先で感触の異なる頭皮を少しさすってみる。

「まさか自分に10円ハゲができるとは…」

ストレスでできるとはいえ、そういうものが現実で、しかも自分にできることが驚きで、夏美はただただ力なく笑うしかなかった。

それと同時に、ストレスを抱えている今の状態はそこそこの緊急事態である。という事実がカラダから理解でき、なんだか少しだけホッとする。

「もう限界だったんだ…」

ポツリとつぶやくと肩から力が抜け、心が少しだけ楽になる。

「もう限界なんだよ!」

繰り返すとカラダの中からザワザワとした衝動が這い上がってくる。

なんとかしなくちゃ。このままじゃダメだ……。


手鏡を置き、歩きながらスマホを操作しチュベローズへとアクセスする。

『あれから本音で彼に話しを聞いてみました。彼の理想の働き方や目標などについて聞くと、今まで知らなかったような話がたくさん出て、正直私の知っている彼ではありませんでした。』

一気に打ち込むとあの日の衝撃がフラッシュバックする気がする。印象を一言で語るなら『怖い』だ。

目の前にいる彼が、本当に今まで一緒にいた彼なのか。キラキラと目を輝かせて未来を語る男性は、まるで知らない人みたいで、とたんにあったはずの信頼も愛情も自信がなくなってくる。そして自分の漠然とした将来像との乖離に、ただただ不安と恐れが生み出されてくる。


『私はただ笑いかけるしかできなかったけど、本当は嫌なんです。結婚はしたかったけど仕事を辞めるなんて想像してなかったし、そもそも東京から出たこともないのに、海外なんて無理だと思うんです。それに借金だって、やっぱり彼の問題とはいえ、返しきってないのに仕事を辞めて結婚って、リスクがあると思うんです。あと、正直セックスレスですし。結婚するのにそんな状態で、いいのかなって……仲良しって言い切れないのに結婚していいのかなって凄く思うんです。不安なんです。どうしたらいいですか?』


打ち終わって送信ボタンを押したとき、夏美の頬には涙が流れていた。

溜めていたもの。言葉にできなかったもの。言葉にしてはいけなかったもの。その全てを勢いと一緒に出し切ると、自然と涙が溢れていた。


「私無理しまくりじゃん」

なんだか全てがおかしくなり、笑いが込み上げてくる。

「たかが結婚じゃん」

たかが結婚。そう思えば思うほど、たかが結婚につまずく自分が無能で矛盾だらけで、そしてタイミングも判断も間違っているような気がして、考えても考えてもフォローの言葉が見つからなかった。


NEXT ≫ 第95話:『彼と私の幸せに力を注ぐ』実は簡単で難しいコミュニケーションの深め方



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第89話:聞かれて頭が真っ白に…「彼が望む幸せ」ってどこまで知ってる?


第90話:聞かれて頭が真っ白に…「彼が望む幸せ」ってどこまで知ってる?


第91話:「ねえ、夢ってなに?」本音で彼に問いかけると意外な答えが…


第92話:楽しそうな彼に比例する彼女の落ち込み。なぜ一緒に幸せを感じられないのか?


第93話:友人にも言えない不安が溜まりついにカラダに変化が!?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

この記事がいいと思ったら
いいね!しよう

Related関連記事

Pick Up編集部ピックアップ

Rankingランキング

#tag