恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#93】友人にも言えない不安が溜まりついにカラダに変化が!?

  • 更新日:2019/07/02

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前回のあらすじ:夏美が元気をなくしていくほど、弘はだんだんと元気でイキイキとしていくようだった。 北京北京北京……。弘の頭の中がそのワードで埋まるほど、夏美はどんどん心が追いつかず、不安と孤独が積み重なるようだった。 「今度の出張、夏美も行く?」 おもむろにそう聞かれ、思わず困惑を隠す自分がいる。パスポートの期限を確認すると、切れていてホッとする自分がいる。それに気づくたび、夏美は不安と安堵を繰り返し続けるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第93話:友人にも言えない不安が溜まりついにカラダに変化が!?

「病む」という状態は、誰しも起きうる可能性があるという。

健康で落ち込むことが今までなくたって、ある日そっち側に行くことがある。

今の私は、「落ちかけ……」なのかもしれない。


「なんか、痩せた??」

友人たちが会うなり少しだけ心配そうな目で夏美を観察する。

しかし瞳の奥は、本当に心配……というよりも、結婚に対する素直な好奇心が先走っているからなのがわかる。


確かに最近、夏美は意図せず数キロ痩せていた。

結婚とか北京とか考えるほど食欲は落ち、家に帰るのもどこか億劫な自分に気づいていた。それでもやらなきゃいけないことは山積みで、さらにその状況はただただ夏美を滅入らせた。

「うん、なんかちょっと忙しくて」


結婚して退職する予定である。

数日前に会社の上司にとりあえずの相談をした時は、思わず「辞めないでくれ」という言葉を期待している自分がいた。だけど、親と同じく上司も「おめでとう!」と祝福してくれて、そういった喜びの声を聞くたびに、自分の想像とのギャップと孤独感がどんどん夏美の中にたまっていく。

「北京とか、正直実感ないんだよね」

察してくれと言わんばかりの表情を向けるも、「結婚して北京だもんねえ」という羨望の眼差しにかき消される。

そう、私は今、あんなに憧れていた婚約中の身。

「私海外旅行は2、3回しか行ったことないし。英語も中国語もしゃべれないからさあ…」

「駐在ってことは、けっこう良い待遇でいけるんでしょ?」

「駐在とか超かっこいい響きじゃん」

「あー私も海外転勤とか、言ってみたいわ」

女たちは誰に聞かすでもなく、思ったことを口から垂れ流す。あははと調子を合わせていると、あっという間に話題は別のことへと移っていく。


羨ましいという感情なんて一瞬で通りすぎていくし、全然私の心を満たさないんだな。

集まりもそろそろお開きという頃に、すっかり主役でもなくなった夏美は、そんなことを考える。

「ねえ、いつから北京行くの?」

先日結婚式を上げたばかりの友人が、おもむろに隣に移動してくる。

「まだ決まってない。家の片付けとかもあるし、先に彼氏には行ってもらおうかなとか、考えてる」

「なんかさ、全然嬉しそうじゃないじゃん」

「え?ああ…本当自分でもびっくりしてる」

「それで痩せちゃうわけだ」

「そんな私、元気ない?」

「痩せたのはすぐわかったけど、元気はないと思う。私結婚するって時、頭の中お花畑って感じだったから。夏美を見てると、静かすぎて心配になるかも」

確かに彼女の結婚前は、口を開けばノロケばかりが出ていた。

自分からノロケが出ないのは海外にも行くし、付き合いが長いから。そんな風に納得させていたけれど、やっぱり少し変なのか。

第93話

「あれ、ねえ、ちょっと待って」

おもむろに友人が夏美の頭を凝視する。

「え、なに?なに?」

「ちょっとごめん、触っていい?」

頭頂部に柔らかな手が触れ、一瞬ゾクッとする。

「ねえ、あんた、10円ハゲできてるよ!」

「……えええええ!?うそ!?まじで?」

手を導かれ、その場所を触ってみると、確かになんとなくそこだけ感触が違う。ような。

「初めて見た。本当、大丈夫?」

「あ…うん…多分…」

かろうじて返事をしたものの、夏美の耳にはもう、音も声もきちんと入って来てはいなかった。


NEXT ≫ 第94話:ついにカラダにも不調が…本音を初めてぶちまけたとき思うこと



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第88話:プロポーズは嬉しいのに…日に日に不安が募る女の本心


第89話:聞かれて頭が真っ白に…「彼が望む幸せ」ってどこまで知ってる?


第90話:聞かれて頭が真っ白に…「彼が望む幸せ」ってどこまで知ってる?


第91話:「ねえ、夢ってなに?」本音で彼に問いかけると意外な答えが…


第92話:楽しそうな彼に比例する彼女の落ち込み。なぜ一緒に幸せを感じられないのか?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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