恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#84】「結婚して幸せになりたい」気づいてしまった事実に、どう答えをだしたらいいのか

  • 更新日:2019/06/04

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:「私は彼のことが大好きでした。だから家の事とか将来について、たくさん努力しました」 一気に感情を出し切ると、少しだけ気持ちが落ち着き、家路に着くことにする。 夏美のモチベーションは『結婚して、幸せになるんだ』という一点に集約されていた。結婚して幸せになりたい。だから家事も借金も乗り越える。そう思っていると、チュベローズから返信が来る。 『「結婚して幸せになりたい」のでしょうか。それとも「彼と幸せになりたい」のでしょうか。前者の場合、それは相手を愛しているとはいえません。』 その一文を読むと、足元グラグラと揺れるような感覚に陥る。 夏美は、本当に自分が望んでいるものに、気づいてしまったのだ。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第84話:「結婚して幸せになりたい」気づいてしまった事実に、どう答えをだしたらいいのか

心はいつだって正解を示す。

心が揺れるということは、それが本心。それが正解。

でも人は、理性がそれを拒絶すると、理性を正解と思い込もうとしてしまう。


「ああ、もう12時か…」

夏美がパッと時計を見上げると、長針と短針が重なろうとしていた。

今は会社で、さっきまで企画書を作っていて、これからお昼の時間だ。周囲の人たちは席を立ち外へ出かけていく。夏美は一瞬の静寂を感じ、深呼吸して少し現実を確認する。ぼんやりと薄れてしまった実体が、ゆっくりと戻ってくる気がする。


昨晩は1時過ぎに自宅には戻ってみたけれど、弘はなんにもなかったかのように眠っていたし、夏美はチュベローズからの返信に、正直混乱と衝撃を覚えていた。

『あなたの根本は、自分の幸せを考えて、必要なピースを選んでいるように思えてならないのです。「結婚して幸せになりたい」のでしょうか。それとも「彼と幸せになりたい」のでしょうか。前者の場合、それは相手を愛しているとはいえません』

チュベローズからの返信は、見た瞬間夏美の中で、何かがスッと入ってくる感覚があった。その感覚を例えるならば「腑に落ちる」というものなのだが、それを認めてしまっていいのか。夏美はその瞬間から今まで、ずっと動揺し、その事ばかり考えていた。


「私は結婚して幸せになりたい…弘と幸せになりたい…どっちなんだろう」

答えはなんとなく分かっていても、小さく声にだして空に聞いてみる。

ありきたりだが、弘との結婚式を脳裏に浮かべていると、一瞬不安は和らぎ、幸福感が湧く。ような気がする。

「でも、弘には借金があって、家事は私任せで、休日はデートもろくにしてくれないけど、幸せかな…」

あえて否定的な意見を想像にぶつけてみると、幸福感が波のように今度はサーッと引いてくる。ように感じる。

「じゃあ、幸太と結婚したら、幸せだった?」

今度はタキシードの相手を変えてみるけど、幸太のイメージはすぐに湧くが、あまり心は動かされない。そもそも幸太への気持ちは枯れてしまっているのだから、当然か…。と自分の謝った選択を振り返り、適当な人物を次々思い浮かべる。

第84話

「じゃあ営業の平田さんとか…」

「じゃあいつも会うカフェの店員さんとか…」

なるべく良いイメージも悪いイメージもついてない人との妄想を繰り返してみると、案外気分は悪くない。

むしろ相手が凄く優しかったり、凄くお金持ちだったりするかもしれない。そんなポジティブな要素が思い浮かび、ちょっとワクワクしている自分がいる。


しかし、ワクワクするってことは、弘と結婚したいのではなく「結婚して幸せになりたい」と自分が思っている事を裏付けることも分かっているので、夏美は困惑する。

「私、本当にダメかも…」


デスクで頭を抱えていると、おもむろにLINEが通知を知らせる。

ハッとして開くと、意外にも弘から「今夜ご飯に行かないか」という誘いだった。

別れるって言われるのかもしれない。

自分の気持ちを悟られたような気がして、夏美は一瞬ドキリとする。どちらにしろ、拒否権はないことは分かっているから、心拍数を上げながら一旦は承諾の返信をするのだった。


NEXT ≫ 第85話:彼からの急なご飯の誘い、伝えられたのは想像とは違う現実



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第79話:デート中の些細な喧嘩!私は悪くないのに、どうしたらいいの?


第80話:何もしてない彼氏に怒り!ぶつけた後に返ってきた思わぬ反応


第81話:「押し付けないで」彼氏からの本音に感じた衝撃


第82話:その愛は押し付け?本当に彼のこと愛してる?と聞かれて迷う心


第83話:私は彼が大好き。だから結婚して幸せになりたい!の裏にあった本音



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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