女性のカラダ

「妊活、ナメてました」40歳漫画家・山猫スズメ先生インタビュー②

山猫スズメ先生インタビュー

妊娠は、医学が発展した現代でも未知の領域がまだ多い神秘的な出来事です。人が妊娠するとき、体内で何が起こっているのかは、不妊治療を始めている人でも詳しく知らない人が多いでしょう。


適切な妊活・不妊治療を受けるためには、まずは現代の医学で分かっている事実を正しく知り、それに基づいた合理的で科学的な治療を選んで行く必要があります。


日本の体外受精・顕微受精の件数はここ数年ずっと右肩上がりで、1992年時点の約1万8千件、2013年には約22万7000件と、およそ12倍以上に増えています。(※1)


不妊治療の実施数は多いのですが、体外受精による出産率に関しては、世界最下位という実態が報告されています。(※2)


日本の医学レベルが各国に比べて著しく劣るというわけでもないのに、なぜこのような事態が起こるのでしょうか?


37歳で不妊治療を開始した経験から、日本の不妊治療現場の実態を知ったという漫画家の山猫スズメ先生は、「日本で体外受精の出産率が低いのは、着床前診断が禁止されているからというのが大きな原因ではないか」と考えているといいます。


今回は、2018年2月に妊活実録マンガ『妊活、ナメてました。~37歳漫画家の子作り日記』を上梓されたばかりの、山猫スズメ先生のインタビュー第二弾をお届けします。


前回は、妊活を始めたきっかけについてうかがいました。今回は、山猫スズメ先生が自身の辛い体験から感じた、日本の不妊治療の現場に対する違和感について語っていただきました。


不妊治療を受ける人の気持ちを理解していない医師は多い

山猫スズメ先生インタビュー

―治療のための病院選びはどのように行いましたか?


最初は、家の近くの埼玉県内で探していたのですが、納得できるところがなく、結局ひとつめの病院は都内に通っていました。


―マンガで描かれているお医者さんは「こんなことも知らないの?」など、結構辛口に感じました。実際に、厳しい先生が担当されていたんでしょうか?


マンガなのでデフォルメしている部分はもちろんありますが、基本的にはスパルタな先生だったと思います(笑)。


腕はあるけど、キツイので、その点については患者さんからあまり評判が良くなかったようです。私見ですが、そういう先生って多い気がしますね。技術はあるけれど、不妊治療に通っている人の気持ちがまったく分かってないというか。


―対応や治療に納得できなかったり、長期間成果がでなかったりして、病院を変える人も多いですよね。


ジプシー状態になっている人も多いですね。気持ちは分かります。私も、いまの病院が2つめで、別のところにもうひとつ行こうと思っているところです。


不妊については誰も教えてくれない。知ってびっくりすることも多い

―「学校では避妊については教えてくれるけど、不妊については教えてくれない」と描かれているのが印象的でした。たしかに、不妊について学校で習った記憶はありません。


そうなんですよ。年齢が原因で産めなくなる、っていうことを習っていない人が多いと思うんです。そういうことも学校教育できちんと教えておかないと、「気がついたら手遅れになってしまっていた」という人が増えてしまうと思います。


不妊の原因や、不妊治療については、自分で不妊治療を始めてから初めて知ることだらけでした。知らないことがあまりに多くて、びっくりしたくらいです。


山猫スズメ先生インタビュー

―どういったことに一番驚きましたか?


日本の体外受精のシステムが他国に比べてかなり劣っているという点です。


体外受精だと、卵をとって移植するとき、状態の良さそうなものから移植することはご存知ですよね?


―はい。たしか、グレードをつけて、グレードの高い卵から移植するんですよね。


はい。そうなんです。でもそのグレードってどうやって決まるかといったら、形がいいものがグレードのいいもの、とみなされるんです。


ただし、「グレードが良い=卵が正常」というわけではまったくないんです。グレードが良い卵でも異常な卵もあるし、逆に、グレードの悪いものでも正常な卵でちゃんと妊娠できる可能性が高いものもあるんです。


それなのに、グレードが劣っているからという理由で正常な卵が使われず、グレードが高いけれど異常な卵が使用されてしまい、残念な結果になってしまうということが多いんです。


―異常な卵か正常な卵かは事前に調べられないのですか?


それが、実は分かるんです。マンガの最後の方でも描いたのですが、着床前診断をすれば、正常な卵か否かは選別することができます。


でも、着床前診断は日本では日本産婦人科学会で許可がおりていません。

そのため、着床前診断については、ほとんどの病院で説明を受けることもできません。その結果、異常か正常かも分からず、卵の見た目の良し悪しだけで移植を続けているんです。


―日本の体外受精による妊娠の成功率が低いのも、そういった事情があるのでしょうか?


そう思います。着床前診断は他の国では普通にしていることですから。日本って、世界で一番体外受精の実施数は多いんです。(※3)ですが、成功率は低い。着床前診断が実施されていたら、ここまで低い成功率にはならないと思います。


ただ、私もこのタイプだったんじゃないかと思っているんですが、異常な卵であっても妊娠が成立しちゃったりすることもあるそうです。不妊治療のクリニックはだいたい妊娠8週目で卒業になるんです。そのあと途中で流産してしまったとしても、病院の実績としては「妊娠できた」とカウントされます。

ですが、異常な卵で妊娠が成立した場合、その後流産してしまう可能性がとても高いんです。


流産を繰り返して、ネットでやっとの想いで着床前診断について知ることができて、「もっと早く知っていれば、こんなに流産を繰り返さずにすんだのに」と悔やまれる方も多いと聞きます。


※※※


次回は、これから不妊治療を受ける方に、事前に知っておいてほしいことについてお伺いします。


【監修】神戸ARTレディスクリニック 大谷徹郎院長



■編集部からのご注意点

流産する原因はさまざまあり、調査をおこなってもその原因が解明できない症例が数多く存在します。必ずしも今回ご紹介した理由によるものとは言いきれず、あくまで要因の一つとしてご認識いただけます様、ご注意願います。

また、本記事は着床前診断を推奨するものではありません。

着床前診断には、メリット・デメリットそしてリスクがあります。ご検討の際には専門機関を受診の上、医師の説明を受け情報を精査して下さい。



※1『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)


※2 https://toyokeizai.net/articles/-/135646


※3 2002年国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)調べ



山猫スズメ(漫画家)

WEBコミックアクション内モンスターコミックス にて『必勝ダンジョン運営方法』のコミカライズを連載中。2018年5月に自身初の単行本となる『必勝ダンジョン運営方法』を発売。37歳で開始した妊活を赤裸々に綴ったコミックエッセイ『妊活、ナメてました。~37歳漫画家の子作り日記』はキンドルで好評発売中。

ツイッター(@suzumeyamaneko



『妊活、ナメてました。~37歳漫画家の子作り日記』

著者:山猫スズメ

出版社:株式会社ウェイブ/COMIC維新りあら





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  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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