女性のカラダ

マンモグラフィに向かないバストとは? 乳がんの真実⑥~乳がん検診の罠

乳がん検診の様子

乳がんは予防ができないがん。だからこそ検診が大事

 乳がんの現状について、5回にわたって紹介してきました。

乳がんを経験した患者(当事者)視点と、医療ジャーナリストとしての客観的な視点から、乳房再建のこと、治療後の外見ケアのこと、治療しながら働くことの問題、がんとお金のこと、遺伝性の乳がんのこと、を紹介しました。

そして、6回目の今回は、乳がん検診のことをお伝えしたいと思います。


乳がんは、子宮頸がんと違って、確実な予防法がありません。そのため、乳がんで命と乳房を失わないためには、早期発見が何より大事です。

特に、乳がんは、早期と進行したがんでは全く違う病気と言われるほど、治療の内容も大変さも、異なります。


私の乳がんは早期発見でしたので、3泊4日という短い入院だけで終了。治療も手術だけで抗がん剤などの薬物治療は全く行いませんでした。早期であれば、つらい抗がん剤治療をしなくてすみます。


乳がんを早期発見するためには、定期的な乳がん検診が必須になります。

しかし今、マンモグラフィでは、がんを発見しづらい高濃度乳房(デンスブレスト)が日本女性の3割~7割いる(正確にはわかっておらず、医療機関によっては8割、9割が高濃度乳房というところもあります)と言われています。


高濃度乳房だとマンモグラフィではがんを見つけられない!

マンモグラフィ

乳がんは早期発見、治療によって克服できる病です。

その鍵となるのが、乳がん検診です。でも実は、日本女性の多くがマンモグラフィではがんを発見しづらい高濃度乳房だということが明らかになってきたのです。


しかも多くの自治体で行われている乳がん検診では、がんを見つけにくい高濃度乳房と判明しても、その事実は受診者に通知されていません。それどころか、「異常なし」と結果が返ってくるのが現状です。


高濃度乳房は、乳腺組織の密度が高いために、マンモでは乳房全体が白く写り、乳がんがあっても見えにくい特性があります。

高濃度乳房なら、マンモではがんの有無がわからないのだから、「異常なし」ではなく、「判別困難」と知らせてほしい。

私たちは、全国の乳がん患者さんの有志と2016年、厚生労働大臣に「高濃度乳房の告知を求めた要望書」を提出して、「高濃度乳房の場合は、受診者に通知してほしい」と要望をしていました。


この声を受けて、厚生労働省は、2017年3月に全国の自治体へ初めて調査を行いました。その調査では、「高濃度乳房を通知している」「通知する予定がある」と答えた自治体が約2割でした。


高濃度乳房の通知を始めた自治体が出てきました

乳がん検診のマンモグラフィで異常が見えにくい高濃度乳房の問題で、厚労省が行った初の調査は、こうです。


約1700市区町村のうち、乳房のタイプ(高濃度乳房かどうか)を通知しているのは、230の自治体で、通知する予定があると答えた115の自治体と合わせると、約2割が高濃度乳房の対策に動いていたことがわかりました。


そのため今後、厚労省は、適切な通知法の検討を始める方針です。

今のままでは、自治体によって通知の仕方にばらつきがあって、「高濃度乳房だとどうしたらいいのか?」が検診を受診する私たちにわからないところもあり、誤解を与えることもあるからです。


自治体は、高濃度の受診者に、マンモの弱点を補う超音波検査があると補足して伝えるなど、その後の対処法を示す自治体は半数しかありませんでした。

検診を受診した高濃度乳房の人に、どう情報提供をしたらいいかなど、課題が浮き彫りとなっています。


一方で、川崎市の調査で、高濃度乳房を含む乳房のタイプについて、乳がん検診を受診した人の86%が「知りたい」と言っています。


今の乳がん検診では結果が異常なしでも、本当かどうかわからない

通知している自治体が2割あるという結果について、厚労省は「少ない数字ではない」と言っています。専門家も「国として何らかの提言をまとめる必要がある」と強調しています。


私も経験しましたが、がん告知はつらいです。

でも、もし、高濃度乳房の通知をせずに検診結果を「異常なし」としているような制度の不備で、乳がんの発見が遅れたとなれば、患者は後悔と医療不信が増します。

信頼して治療を受けることすらできなくなります…。


どんな検診も100%ではありません。

現状では、乳がん検診を受けた受診者は、検診結果が「異常なし」でも、自分が高濃度乳房かどうかを問い合わせ、もしそうなら超音波などの検査を自分で組み合わせるなどを進めています。


乳がん検診を受けても早期発見できず、進行がんで見つかる人が出ています

米国では高濃度乳房の女性は約4割ですが、マンモ検診受診者に高濃度乳房であることを告知している州は41州。うち約30州で告知義務を怠ると罰則を受ける法整備が整ってきています(2017年現在)。


これは、マンモグラフィ検診を受けていたのに、高濃度乳房のために乳がんの発見が遅れて、進行がんに進んでしまった患者さんたちの声が政策に反映された結果です。


私は、乳がんの取材や啓発活動を行う中で、日本でも定期的に乳がん検診を受けていたにもかかわらず、早期発見ができず、進行がんで見つかったと悲しむ女性たちとあちこちで出会うようになりました。


今の検診が絶対ではないことを、検診を受ける女性たちに伝えなければ…。国や専門家に女性たちの声を反映してもらわなければ、と活動しています



参考サイト

NPO法人乳がん画像診断ネットワーク|公式サイト

厚生労働省|第21回がん検診のあり方に関する検討会 資料・参考資料抜粋



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  • 増田 美加(女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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