4月から変わった不妊治療の助成金

  • 更新日:2016/05/19
医療ジャーナリストの増田美加先生のフッター

高度不妊治療の助成金制度が4月から少し変わりました

不妊治療のお金、助成金のお話です。


 国の厚生労働省が実施している事業として、高度不妊治療の助成金があります。

「特定不妊治療費助成金」と呼ばれていて、現在、47都道府県どこでも受けられる助成制度で、全国どこでも同じ方針です。

 「特定不妊治療」とは、体外受精・顕微授精・凍結胚移植などの高度不妊治療(生殖補助医療:ART)をさします。


 この制度が、今年2016年の4月から少し変更になりました。変わったのは、助成対象となる人と助成の回数です。


6回以上、43歳以上は助成金を申請できなくなりました


今年4月以降は、助成対象、助成回数が変更になります(平成26年度の制度改正に伴い)。これは、過去に助成を受けた人を含めて、全ての人に適用される変更です。


東京都の例をあげて、その内容を見てみましょう。

次の①~③に当てはまる人が、今年の4月1日以降は申請できなくなりました。


①平成27年度までに、すでに6回以上または通算5年の助成を受けている。

②1回目の申請の治療開始日の時点で、妻の年齢が40歳以上で、平成27年度までに、すでに3回以上の助成を受けている。

③今回の申請の治療開始日の時点で、妻の年齢が43歳以上。


東京都の場合を詳しくみてみましょう。


申請回数の例

初回申請時の治療開始年齢 26年度までに助成を受けた回数 27年4~28年3月末日までの申請
(27年度助成)
4月以降
(28年度助成)
助成上限回数
39歳まで 7回 2回 申請不可(注) 6回
4回 1回 43歳になるまでに1回可能(27年度が通算5年度目の場合を除く)
40歳以上 2回 2回 申請不可(注) 3回
2回 0回 43歳になるまでに1回可能

*1~3月までに終了した治療を4月~6月に申請する場合も含む。

*今年4月以降は、助成上限回数に満たない人でも、43歳の誕生日以降に開始した治療については申請できなくなりました。

「東京都福祉保健局のホームページより」

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.html


去年から男性の不妊治療に助成金が加算されています!

2015年4月から、「精巣内精子生検採取法等に係る医療費助成」が開始になっています。


 それまでは、不妊治療で、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)をおこなったときは、その費用について助成の対象となっていましたが、それ以上の加算は行われていませんでした。


 昨年4月からは新たに、特定不妊治療の助成額に加えて、体外受精・顕微授精・凍結胚移植などの「特定不妊治療」で行われる、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)の医療費についても、さらに助成を受けられることになっています(助成額上限15万円)。


この制度によって、女性の不妊治療と併せて、男性の手術も行った場合には、合わせて最大で40万円の助成を受けることができるようになっています。


2014年からは助成金額が増えています!

 さらに、治療を終了した日が平成26年4月1日以降のものから、助成額の上限が変更になっています。こちらも東京都の例です。


【変更前】【変更後】
治療ステージA15万円20万円
治療ステージB15万円25万円
治療ステージC・F15万円7.5万円
治療ステージD・E15万円15万円(変更なし)

平成28年1月20日以後に治療が終了していて、この助成を初めて受ける場合に限っては、初回の助成上限額が30万円となります(治療ステージC・Fを除く)。


 治療ステージは、ちょっと複雑です。詳しくは各自治体のホームページを確認してください。おおまかに説明すると…


【治療ステージ】

A 新鮮胚移植を実施

B 凍結胚移植を実施(採卵・受精後、間隔をあけて母体の状態を整えてから胚移植を行う)との当初からの治療方針に基づく治療を行った場合

C 以前に凍結した胚を解凍して胚移植を実施

D 体調不良などにより移植のめどが立たずに治療終了

E 受精できず、または、胚の分割停止、変性、多精子授精などの異常授精等により中止

F 採卵したが卵が得られない、または、状態のよい卵が得られないため中止

G 卵胞が発育しない、または、排卵終了のため中止

H 採卵準備中、体調不良などにより治療中止


また、国の助成金制度に加えて、自治体によっては独自にプラスした助成金が出る場合があります。

助成対象者・助成金額・回数など、各自治体によって異なりますので、住まいの都道府県、または中核市のホームページでご確認ください。


金額を増やして、年齢や回数を制限する方向へ


 助成の金額は少し増えたけれど、助成回数や年齢を制限しているのが、不妊治療の助成金改定の方向のように思えます。

これらの改定は、不妊治療のやめどきに悩む人たちに、それを考えるための方向性を見せてくれているのかも…とも見えますが…。


 個人的には、不妊治療にかかる費用は、高度不妊治療に対しても健康保険の適用にしてほしいと思います。

 でも、長い期間、不妊治療を続けていて40代になって「いつやめればいいの?」と悩みながら続けている女性も少なくありません。

 そんなカップルの心や体のケアも、これからはもっと必要だと思います。

  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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