
怖いけど、知っておきたい流産について
- 更新日:2020/09/22
- 公開日:2020/09/22
妊娠のうち15%も流産に…

少し重い話題ですが、「流産について知りたい」という妊活中の女性たちから問い合わせがあったので、正しい情報をお伝えしたいと思います。
流産とは、妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうことをいいます。
日本産婦人科学会の定義としては、「22週より前に妊娠が終わること」をすべて「流産」といいます。22週とは、赤ちゃんがお母さんのおなかの外では生きていけない週数です。
妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、流産全体の約80%です。
流産は、病気のひとつと考えます。妊娠のうちの15%前後が、流産に至ってしまうというデータもあり、そういう意味では、多くの女性が経験する疾患です。
原因は…

早期に起こる流産の原因で最も多いのが、赤ちゃん自体の染色体などの異常です。ですから、受精の瞬間に「流産の運命」が決まることが多いのです。お母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することは、ほとんどないのです。お母さんの責任ではないといっていいでしょう。
流産の種類は…
流産にはいくつもの状態があります。
原因ごとに分類すると…
「人工流産」いわゆる「人工妊娠中絶」のことで、母体保護の目的で母体保護法指定医によって行われる手術です。
「自然流産」人工流産以外の自然に起きる流産すべてをいいます。
症状や状態によって分類すると…
「稽留(けいりゅう)流産」
胎児は死亡していますが、まだ、出血・腹痛などの自覚症状がない場合。婦人科での診察で初めて確認されます。治療法としては、入院して子宮の内容除去手術を行うのが原則です。
「進行流産」
出血が始まって、子宮のなかから外に出てきている状態です。いわゆる「流産」の状態で、「完全流産」「不全流産」にわけられます。「完全流産」は、子宮からすべて自然に出てしまった状態。出血、腹痛は治まってきている場合が多く、経過観察することが多い状態です。「不全流産」は、流産が始まっていますが、まだ子宮内に残存している状態で、出血や腹痛が続いていることが多く、手術を行う場合が多い状態です。
「感染流産」
細菌などによる感染をともなった流産。お母さん自体の危険が高まるため、病院で慎重な治療や管理が必要なものです。
「習慣流産」
流産を3回以上繰り返した場合をいいます。流産は多くの妊娠で起こる可能性があり、誰にでも起こりうることです。けれども、3回以上繰り返す場合は、両親に何らかの疾患がある場合もあります。専門の医療機関で精密検査を行いますが、原因がはっきりしない場合も多いのです。
切迫流産とは?
胎児が子宮内にいて、流産の一歩手前の状態を「切迫流産」といいます。
一般の流産は、基本的に妊娠継続は不可能ですが、「切迫流産」は妊娠継続の可能性があります。
妊娠12週までの切迫流産に有効な治療薬はないといわれていて、経過を観察することで対処することが多いのです。子宮の中に血液のかたまりがあるような、切迫流産では安静が効果的という研究報告もあります。
妊娠初期に出血があったときは…

妊娠初期には、少量の出血や軽い腹痛を感じることがあります。
正常な妊娠でも症状が起こることがありますし、流産や切迫流産で起きる場合もあります。
しかしながら、流産や切迫流産で、少量の出血が始まってすぐに医療機関を受診したとしても対処法がないのが現実です。このため、夜間や休日に少量の出血や軽度の腹痛があったときに、あわてて救急外来を受診するより、かかりつけの婦人科に連絡して、医師の指示をあおぐほうがよいといわれています。
ただし、ひどい腹痛がある場合には、異所性妊娠(子宮外妊娠)といって、子宮の中でなく、卵管や卵巣の周囲に妊娠している可能性があります。このような場合には救急で、すぐに受診してください。
次回は、できるだけ流産を防ぐための対策をお伝えします。
▼著者:増田美加さんの人気コラム▼
・生理痛は、病気のサイン ~不妊の原因となる子宮内膜症の可能性も!・生理時の出血、多い?少ない?これって病気ですか?
・妊娠していないのに生理が遅れる原因は?
・生理痛で片づけないで!生理痛に潜む病気とは?
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増田 美加
(女性医療ジャーナリスト)
女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。
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