乳がん検診は定期的に受けることが重要です!
- 更新日:2016/05/19
- 公開日:2014/10/19

日本の乳がん検診の受診率は、先進国で最低です
ピンクリボン運動のことは、みなさんよく知っていると思います。
でも残念なことに、日本の乳がん検診の受診率は、約24%とまだまだ低い状況です。これは先進国で最低の数字。欧米では70~80%の女性が検診を受診しているのに、です。
欧米では、乳がんによる死亡率が年々、減っています。けれども日本ではいまだに乳がんで亡くなる方が年々、増えているというのが現状です。
40歳からは2年に1回のマンモグラフィ検診を
乳がんの早期発見のためには、「40歳から、2年に1回マンモグラフィ検診を受ける」ことが大事です。
日本はもちろん、乳がん検診のグローバルスタンダード(世界標準)です。エビデンス(科学的根拠)のある乳がん検診は、今のところ、40歳以降のマンモグラフィ検診だけです。これは、だれもが同じく受けるべき“検診”です。
症状がある人は、受診しましょう
ただし、「乳房や脇の下にしこりがある」「痛い」「皮膚に赤みやくぼみがある」「乳首から分泌物が出ていた(ブラジャーが汚れた)」など、気になる症状があったら、20代でも30代でも年齢にかかわらず、乳腺科医、乳腺外科医のいる病院の外来を受診しましょう。
専門の医師がいる病院では、マンモグラフィだけでなく、超音波やそのほかの検査も組み合わせて診察し、説明も丁寧にしてくれます。
日本では近年、35歳くらいから乳がんが増えてきています。
血縁に乳がんの人がいる場合は…
また、「家族に乳がんになった人がいて心配」と思う人もいるでしょう。
最近では、アンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝性の乳がんだったことがわかり、話題にもなりましたね。
もし、血縁(母、姉妹、祖母などあ)に乳がんにかかった方がいたら、年齢にかかわらず20代、30代でも一度、乳腺科の専門医のいる病院の外来を受診して、診察してもらいましょう。マンモグラフィだけでなく、超音波検査など、ほかの検査を組み合わせたほうがいい場合もあります。
以前にくらべて、遺伝性の乳がんの研究が進み、遺伝子検査についても日本に導入され始めました。
アンジェリーナ・ジョリーさんは、“BRCA1、2”という遺伝子検査の結果、がんになる確率が高い遺伝子変異を持った“遺伝性乳がん、卵巣がん症候群(HBOC)”とわかりました。アンジーの母親は、約10年間がんと闘病し、56歳で亡くなっていて、叔母さんも同じ病気で亡くなっています。
そして、アンジーは、乳がんを予防するために、両乳房と卵巣の“予防的切除”を行ったニュースは、世界に衝撃を与えました。
アンジーは、医師から「乳がんになる確率が87%、卵巣がんの確率が50%」と告げられたと言います。その結果、手術を決断したのです。
遺伝子検査について
今、日本でも“乳がんの遺伝子検査”に対する関心が高まっています。
日本では、乳がん、卵巣がんにかかった人のうち、5~10%にこの“HBOC”の人が含まれていると推定されています。けれども、この遺伝子変異が見つかっても100%がんになるわけではありません。乳がんにかかるリスクが4~9割、また卵巣がんのリスクが2~6割と言われています。
また、“BRCA1、2”の遺伝子検査は、だれもが受けられる検査ではなく、リスクがわかった人が「遺伝カウンセリング」を行ったのちに、よく考えて希望した場合に受けられる採血検査です。
検査で陰性なら問題はありませんが、陽性だった場合、遺伝性のため本人だけでなく家族や親戚にもかかわる問題になります。日本ではまだ“HBOC”の人に対する精神的、社会的フォロー体制が整っているとは言えない現状もあります。また、費用も保険が効かないため、施設によって異なりますが、「遺伝カウンセリング」は8000円前後、検査約24万~38万円と高額です。
この検査のメリットは、リスクを正しく知って、“HBOC”の発症リスクに備え、予防できることです。万が一、陽性だったとしても、予防の選択肢にはアンジーの行った“予防的切除”だけでなく、「こまめに乳がん検診を受け早期発見に努める」「予防的にホルモン療法を行う」などの方法もあります。
まずは自分の乳房に関心をもって!
みなさんは、自分の乳房に関心を持ってチェックしていますか? 気になる症状はありませんか? 乳がん検診は受けましたか?
10月はピンクリボン運動強化月間です。ぜひ、自分の乳房のこと、乳がん検診のことをこの機会に思い出してください。
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増田 美加
(女性医療ジャーナリスト)
女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。
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