
このコラムでは毎月、“妊活”に関する話題をとり上げています。
今回は、不妊治療についてです。
妊活に興味がある女性たちに向けたあるアンケート調査で、不妊について「医師による検査を受けたことがありますか?」という質問に対して、約22%の女性が「ある」と答えています。
「ない」と答えた人に、「今後、検査を受けたいと思いますか?」と聞いてみると、約35%が「受けたい」と答え、自分の体をチェックして、妊娠としっかり向き合いたいと思う女性が多いのだなあ、と切実さを実感します。
けれども、「不妊治療をして、子どもを産みたいと思いますか?」という質問には、約44%が「思わない」と答えています。
また、「不妊治療のイメージ」については、「料金が高そう」約89%、「効果に時間がかかりそう」約55%、「痛そう」約34%などが上位です。
産める体かどうか、不妊症ではないかどうか、を心配はしているものの、不妊治療にまでは、なかなか踏み出せないでいる様子が見えてきますね。
“不妊治療=体外受精”というイメージがあって、“体に負担が大きいのでは?”“治療にはお金がかかるのでは?”と考えている人が多いからではないでしょうか。
不妊治療は、人工授精、体外受精、顕微授精だけではなく、排卵のタイミングを見ながらチャンスをもつ“タイミング法”や排卵を促す“排卵誘発剤”による治療もあります。
この“タイミング法”や“排卵誘発剤”による不妊治療は、健康保険が使えるって知っていますか?
30代後半や40代になって不妊治療を始めようとすると、どうしても母体の妊娠力が低下していることはいなめません。
35歳をすぎると妊娠力も出産力も低下することがわかっています。
35歳以降の場合、年齢的に妊娠、出産に残された時間が少ないので、すぐに体外受精などの高度不妊治療に入らざるを得なくなるのが実情です。
でも、早い(若い)年齢で治療を開始すれば、治療の選択肢が広がり、保険が使える範囲でできる治療もあるのです。
もちろん、年齢が若いほど、妊娠率、出産率が高いので、妊娠、出産につながりやすくなります。
そうはいっても、若いうちは「不妊治療をしてまで…」と思っている人は多いと思います。
私の友達も、「まだ30歳だから、もう少し先でも…。生理は順調だし大丈夫!」と言って仕事をしているうちに36歳に。
37歳から「まだ赤ちゃんができないから、やっぱり欲しい」と治療を始めました。
検査の結果、体外受精をしないと妊娠できないことがわかり、40歳になった今も治療を続けています。
やはり30代後半になると、なかなかいい結果がでないのです。
「赤ちゃんが欲しい!」と思ったら、若い年齢でも婦人科で不妊症の検査を行って、早めに簡単な治療からチャレンジしてもいいかもしれませんね。
それからぜひ、将来は赤ちゃんが欲しいとは思うけれど、今はまだ…と思っている女性も、20歳以降はぜひとも婦人科へ行って、子宮や卵巣にトラブルはないか、早めにチェックしてみてください。
不調があれば、すぐに婦人科を受診するのは言うまでもありませんが、不調がなくても、子宮筋腫や子宮内膜症、クラミジア感染症や子宮頸がんなどの病気がないか定期的にチェックすることが大事です。
そして、もし結婚して2年以上経っていて、子どもが欲しいけれどまだ妊娠していなければ、20代、30代前半という若い年齢でも、不妊症の検査を積極的に受けていいと思います。
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増田 美加
(女性医療ジャーナリスト)
女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。