
つらい生理痛、子宮内膜症は不妊の原因にも!
- 更新日:2019/06/19
- 公開日:2019/06/19
女性なら経験したことの多い、生理痛。まだ女性ホルモンのバランスが不安定な思春期の10代に生理痛が多いのは、普通のことです。
でも、女性ホルモンのバランスが整った20代以降につらい生理痛が起こるのは、背後に隠れた病気があることが少なくありません。
生理痛の原因には、隠れた病気があることも多いのです。
「日常生活に支障をきたしたり、鎮痛剤を必要としたり、寝込んだりする生理痛を医学的に“月経困難症”という病名で呼んでいます」と産婦人科医は言います。
生理痛があるだけで“月経困難症”という病気なのです。
生理痛は病気です!

月経困難症は大きく分けて、器質性と機能性とふたつに分類されます。
「器質性月経困難症」とは、生理痛の原因となる何らかの病気をもっている場合です。具体的には「子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)」「子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)」「子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)」などです。
一方、機能性は、特に病気はないけれど、生理痛が起こる状態のことで、「機能性月経困難症」と呼ばれています。よく「お産をしたら生理痛がなくなった」というのは、このタイプ。
年齢とともに、病気のない機能性の生理痛が減り、逆に、なんらかの病気がある器質性の生理痛が増えてきます。
特に、30代以降で生理痛が強い女性は、子宮内膜症などの器質的な病気が潜んでいる可能性があるので要注意です。
子宮内膜症は、やっかいな病気で、閉経して女性ホルモンの分泌が低下するまで病状が年々悪化していきます。
今年の春に設立された「日本子宮内膜症啓発会議(JECIE・ジェシー)」では、「今、生理痛のある日本女性の4人に1人、約200万~400万人が子宮内膜症に苦しんでいる」と発表しています。
生理痛対策こそ、将来の妊娠のために大切です

鎮痛剤を飲んだり、生活に支障が出たりするような生理痛は、背後に病気が隠れている可能性が高いのです。
子宮内膜症があると、子宮や卵巣の周りが骨盤と癒着してしまったり、病巣から出てくるサイトカインという物質によって受精が邪魔されたり…と不妊症との関連も!
子宮内膜症は、女性特有の病気でありながら、病気の重大性や認知度が低いゆえに、婦人科を受診せず、痛みを我慢したり、市販の鎮痛剤で対処し、隠された子宮内膜症などの病気を見逃し、進行させてしまう女性が少なくありません。
子宮内膜症は、痛みによる女性のQOL(生活の質)を低下させるだけでなく、不妊症の一因にもなります。
また、子宮内膜症性の卵巣のう腫(チョコレートのう胞)は40代に入ると、がん化(卵巣がん)する危険性も報告されていて、子宮内膜症は早期からケアすることが必要な病気です。
生理痛を治療しないと、将来の不妊や卵巣がんにつながる可能性大だなんて大変なことです! ただの生理痛と侮らず、ぜひ婦人科を受診してください。
▼著者:増田美加さんの人気コラム
・自分でもなんとかしたい!生理痛のセルフケアのポイントは4つです・「出血が多い」「かぶれてかゆくて痛い」など生理に関するアンケートにお答えします!
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増田 美加
(女性医療ジャーナリスト)
女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。
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