人生崖っぷち母ちゃん

流産のリスク低下に期待!?「着床前診断」がついに日本でも可能に!

  • 更新日:2020/09/09
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赤ちゃんを望む人が避けて通れない高いハードルがあります。その一つが「流産」です。妊活経験者の約半数が経験する意外と身近な「流産」。
流産率(※)は、20代後半で11%、40代以上の女性は41%と、年齢を重ねるほど上昇していきます。

参照:「母の年齢と自然流産率」

私は両手では足りないくらいの体外受精をしてきましたが、幸いにも、流産の苦しみを経験しないまま男の子を授かることができました。

何度も「流産」の壁にぶち当たり、辛い思いをしている妊活仲間を私は今まで何人も見てきました。

今回は流産率の低下を期待されている「着床前診断」についてお話になります。


着床前診断とは?

体外受精などで採れた受精卵(胚盤胞)の遺伝子や染色体を調べ、子宮に戻す受精卵を選ぶ技術を着床前診断と呼びます。

着床前診断とは?

(私の染色体)

2020年から日本で着床前診断の臨床試験がスタートしました(現時点では、日本産婦人科学会が認可した施設のみ)。


着床前診断のメリット・デメリット

着床前診断のメリット・デメリット

まずは、着床前診断で「期待されること」と「問題点」、その両方を見ていきましょう。

期待されること

● 流産・死産リスクの低下(染色体・遺伝子の異常による)
● 胚移植当たりの生児獲得率(※)を向上
● 女性への精神的・肉体的負担が減らせる
● 生まれてくる子どもの先天性異常の予測・準備ができる
※生児獲得率…分娩率

問題点

● 金銭的負担の増加。胚1つにつき、5~10万程度かかる
● 命の選別に繋がりかねない
● 検査による胚細胞へのダメージの可能性が気がかり
● 診断の精度は100%正しいというわけではない

着床前診断は、一時話題となった「出生前診断」と同じように「命の選別」に繋がる可能性があります。
日本やヨーロッパでは、胚の性別開示は禁止されています。
アメリカなど一部の国では、胚の性別検査・移植の選択をすることもできます。

どこでも受けられるとは限らない

着床前診断は、日本産科婦人科学会の認可を受けた、限られたクリニックのみ検査に対応しています。

誰でも受けられない検査

また、誰でも受けられる検査ではなく、対象者は限られています。

● 2回以上の流産を繰り返している
● 移植で2回連続妊娠に繋がっていない
● 夫婦のどちらかに染色体異常がある


着床前診断について思うこと

着床前診断について思うこと

私は、今からちょうど8年前の夏。何度も体外受精に挑戦してやっと妊娠する事が出来、流産率が高いと言われる「魔の8週目」を越え、晴れてクリニックを卒業した時期でした。
その頃、「新型出生前診断(NIPT)」が日本でも導入されることが決定し、広く世間を賑わせました。着床前診断もNIPTと同じように、今後実施可能なクリニックが急速に拡大していくことでしょう。

NIPTが妊娠後に行う検査であるのに対し、着床前診断は妊娠前に行う検査です。
赤ちゃんを強く望む人にとって、不妊治療の選択肢が広がるのであれば、試せるものなら試したいと誰もが思うはずです。

流産のリスク軽減のために、採れた胚全てに検査にかけたいと思うご夫婦もいるかもしれません。
高刺激方法で体外受精をおこなった場合、一度の採卵で6~10個(※)も卵が採れるといわれています。これを全て検査するとなると6個×5万円=30万円
体外受精の費用以外にさらに着床前診断の費用をかけるとさらに金銭的な負担が増えます。
※30代前半平均

不妊治療を必要としていない人達までもが、着床前診断を受けるために不妊治療を始める可能性もあります。
新しい技術は、期待と共にやってきますが、選択肢が増えることで、新たな悩みや苦しみも生まれます。導入するクリニック全てが、当事者の選択の悩みにベストエフォートで寄り添って欲しいと切に願います。



監修:齊藤 英和 先生

医学博士 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医 日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
1953年、東京生まれ。栄賢会 梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長。専門は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。


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  • 赤星ポテ子 (イラストレーター&漫画家)

    武蔵野美術大学卒。不妊治療を経て一児の母に。いつか息子と海外移住できることを夢みている。 著者「ベビ待ちバイブル」「子どもにちゃんと伝わるお金の「しつけ」」(共著)など

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