更年期

漢方薬で、更年期の症状を改善する方法とは?

  • 更新日:2020/05/17

 更年期のつらい症状の治療としては、ホルモン補充療法(HRT)が大きな柱ですが、もうひとつの柱は、漢方です。ホルモンの急激な減少で、体のバランスが乱れて起こる更年期の症状は、漢方の得意分野でもあります。どのような症状に効くのか、使うときの注意点は何か……など。更年期治療で活用する漢方について紹介します。


更年期特有の不調は、漢方が最も得意

漢方

 頭痛や腹痛などの症状が現れたとき、西洋医学では、体の臓器のどこが悪くなったかを調べて、具合いの悪い部分に直接、働きかけて治療します。


 一方、全身の状態を見て、さまざまな症状や体質の特徴を総合的に診ながら、全身の歪みを改善していくのが漢方です。

 ホルモンのアンバランスや自律神経の乱れによって起こる更年期特有の不調は、漢方が最も得意とするところです。


 更年期の症状は、エストロゲンの減少によって引き起こされた不調。それなら、足りなくなったホルモンを補充しようというのが、ホルモン補充療法(HRT)の考え方です。

 それに比して、漢方はこの時期、女性ホルモンが減ってくる全身の変化の状態を見極め、困った症状を取り除きながら、全身の状態やバランスを整えていこうとする治療です。


 女性ホルモンが少なくなって、体や心に現れる症状を改善するために、全身へのアプローチでサポートしてくれます。


病気になりにくい体質改善を目指す漢方

 ホルモン補充療法(HRT)は、今起きている症状に、即効性があります。西洋薬の特徴として、副作用がともない、使用をやめると効果がなくなることがあります。


 漢方は、効果が現れるまでに少し時間はかかりますが、副作用は西洋薬に比べて少なく、体質改善を目指し、不調が出にくい体質をつくるといった長所があります。


 更年期の症状が強く、すぐに症状を抑えたいというときは、ホルモン補充療法を行い、ホルモン補充療法と併用しながら、漢方も取り入れて両方で体の調子を整えていくのも効果的な方法とされています。


 また、症状がひどいわけではないけれど、不調を改善したいという人やホルモン補充療法は行えない、別の治療法を選択したいという人は、漢方で乗り切る選択肢もあります。どちらもそれぞれ良い点があるので、上手に活用しましょう。


 漢方を行う場合でも、現れた症状が更年期によるものか、ほかの病気によるものかを調べるために、婦人科などで検診を受けることは大切です。婦人科検診や健康診断も定期的に受けましょう。


同じ病気でも、人によって異なる漢方薬を使うことも

診察

 一人ひとりの体質に合わせて治療を行う漢方では、その人の「証」を診るのが治療の第一歩です。証は、漢方の診察によって、その人の体質や体力、病気に対する抵抗力を見極めます。


 証を見るときの診察の仕方として医師は、望診(ぼうしん)(=顔の表情や精神状態、皮膚、体型、動作、舌の状態など)、聞診(ぶんしん)(=体質や声、呼吸などをチェック)、問診、切診(せつしん)(=脈やお腹を触る)などを行って、総合的に診断します。


 漢方の特徴のひとつに、「同病異治(どうびょういじ)」があります。これは同じ病気や症状でも、その人の証によって処方される薬が違うこと。また、「異病同治(いびょうどうじ)」といって、異なる病気でも同じ薬を使うこともあるのです。


 また、私たちの体は、絶えず変化しています。証もずっと同じではなく、環境や年代によって変わっていくものです。それに合わせて、漢方薬を変えていくのです。


ホルモン補充療法と併用するのはどんなとき?

ホルモン補充療法

 漢方薬とホルモン補充療法(HRT)は、併用できます。併用するのは、特に症状がつらい人に勧められることがよくあります。


 即効性があるホルモン補充療法(HRT)で、つらい症状を早めに改善し、そこに漢方薬をプラスして全身の機能を整えたり、体質を改善していく方法は、更年期障害の治療の効果が高いと言われています。


 ホルモン補充療法と漢方の両方をうまく利用して、この時期を上手に乗り切っていくことは効果的な方法です。


市販の漢方薬はどう選ぶ?副作用は?

 漢方薬は、西洋薬と異なり、この病気にこの薬、と決まっていません。その人の「証(体質)」によって、症状が同じでも異なる薬が処方されます。

 そのため、最初に使う漢方薬は、専門家に相談して、自分の証(体質)と症状に合ったものを選ぶことがとても大事です。


 医師の診察を受けて、処方してもらうのが最もいい方法です。自分で市販薬を購入する場合は、医師や漢方に詳しい薬剤師に相談して、自分に合った漢方薬を選んでもらったほうがよいでしょう。


 漢方薬にも副作用があります。特に市販薬を自分で購入したときの副作用が多くなっています。

 自然の植物、動物由来のものや鉱物などの素材を材料にして、漢方薬は体に穏やかに作用をするので、副作用は西洋薬に比べると少ないとされています。

 ただし、その人の体質に合わないと、胃の不快感、下痢や湿疹などのアレルギー症状、間質性肺炎などを引き起こすなどの副作用もあります。


 漢方薬を飲んで、胃腸症状や肌のかゆみ、めまいなどの不快な症状が現れた場合はすぐに専門家に相談してください。


効果が出るまでに時間がかかる?即効性がある漢方薬も

漢方薬

 漢方薬は、長期間継続して服用しないと、効果が出ないと思っている人も少なくありません。しかし、漢方薬にも即効性のあるものもあります。


 漢方薬は西洋薬と比べて確かに効き目が穏やかですが、急性の頭痛や腹痛、風邪の初期ほか、即効性のあるものもあります。


 漢方薬を体質改善のために飲む場合は、2~3週間で効果を感じることもありますし、効果が現れるまでに2~3カ月かかることもあります。

 漢方には、未病の段階で服用して、病気を未然に防ぐ効果もあります。症状が改善された後も飲み続けると、病気を防ぐ抵抗力が高まるものもあると言われています。


漢方薬は高価では?健康保険が使えるの?

 医師に処方してもらえば健康保険が使えます。日本の医師の8割は漢方薬を普段の診療で普通に処方しています。

 保険診療で行っている医療機関で処方される漢方薬は、保険が効きます。


 一般に健康保険が適用される漢方薬は、顆粒タイプのものが多いですが、煎じ薬で健康保険が使えるものもあります。


 ただし、自由診療しか行っていない医療機関では、健康保険が使えませんので、あらかじめ確かめておくことが大切です。



▼バックナンバー

・更年期治療のホルモン補充療法、いくらかかる? どのくらい続ける? 気になる質問に答えます!


・更年期障害の治療のファーストチョイス。気になるホルモン補充療法の副作用は?


・【更年期】ホルモン補充療法(HRT)の思わぬメリットとは!?


・更年期障害は治療できる!ファーストチョイスとなるホルモン補充療法(HRT)とは?


・更年期症状で受診したら、婦人科ではどんな検査をする?


  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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