アトピー性皮膚炎

湿疹がかゆくて我慢できずさらに悪化する、アトピー性皮膚炎に悩む人に改善の方向が

  • 更新日:2020/05/10

 アレルギーは、もはや国民病と言われるほど増加しています。今では日本人の2人に1人がなんらかのアレルギーを持っていると言われています。なかでもアトピー性皮膚炎は、27年で約2倍に。皮膚疾患で2番目に多い病気です。さらに、アトピー性皮膚炎は、中等度以上の重症度の高い人の割合が、約2~3割もあるという深刻な病気。子どもに多いという印象があるかもしれませんが、1~4歳の子どもの次に、実は40~44歳の大人にも多い病気なのです。このアトピー性皮膚炎の治療が変化してきています。その現状をお伝えします。


軽症の人でも7割が治療に満足できない!

アトピー治療

 アトピー性皮膚炎のおもな症状は、良くなったり悪くなったりをくり返す、皮膚のかゆみをともなう湿疹です。

 それにともなって、不眠、集中力低下、労働意欲の低下、抑うつ、不安なども起こり、QOL(生活の質)低下が皮膚の病気の中で最も高い病気です。


 アトピー性皮膚炎によって社会的にもたらされる損失は、746億円とも言われています。

 さらに、患者さんにとって、治療の満足度が低い病気としても知られていて、軽症の人でも約3割の人しか、治療に満足できていないという調査もあります*1。


*1 中原剛士ら「アトピー性皮膚炎患者における疾病負荷と治療満足度に関する横断研究」2017年


バリア機能が落ちて、炎症が起こりやすい皮膚に

炎症

 アトピー性皮膚炎の原因は、まだ明らかになっていませんが、皮膚のバリア機能が低下してしまう体質や、アレルギーを起こしやすいアトピー性の素因(もって生まれた体質)が原因として考えられています。


 アトピー性皮膚炎になっている皮膚は、外からの異物の侵入を防ぐバリア機能が低下していて、皮膚への刺激やアレルギーによる皮膚炎を起こしやすい状態になっています。


 皮膚炎によるかゆみがあるため、皮膚が傷つくと、さらに炎症が悪くなります。

 このとき、皮膚の内部では、正常な皮膚に比べ、Th2細胞という免疫細胞が増えた状態になっています。

 Th2細胞が産生するサイトカインという物質(「IL-4」「IL-13」*2)は炎症を起こしたり、かゆみを誘発したり、皮膚のバリア機能に大切なフィラグリン(*3)という物質を低下させたりします。


*2 体内の細胞同士の情報伝達を行うタンパク質

*3 皮膚の水分保持やバリア機能に重要なタンパク質


医療機関では、保湿と炎症を抑える治療が基本

治療薬

医療機関での治療の基本は、保湿(皮膚のバリア機能を補う)と、炎症を抑える治療 (抗炎症療法)で行なわれています。

 そのときどきの症状の程度やライフスタイルなどに応じて、適切な治療を組み合わせられています。

 確実な診断と重症度の評価をしたあとで、治療の目標やゴールを患者さんと医師が共有して、下記のような治療が行われます。


外用療法

・保湿外用薬

・ステロイド外用薬

・タクロリムス外用薬


全身療法

・デュピクセント®

・シクロスポリン

・経口ステロイド

・光線療法


アトピー性皮膚炎の治療では、患者さんが自分の状態をよく知り、継続して治療に取り組むことがとても大切です。

 病気や治療について知りたいとき、なかなか良くならず不安なとき、主治医の指示通りにお薬が塗れないなど困ったことがあるときは、主治医に相談してみましょう。


新しい薬で平均約8割、皮膚病変が改善したという結果が

皮膚薬

 治療は、①ステロイド外用薬とタクロリムス外用薬(軟膏)、シクロスポリンなどによる薬物療法、②保湿してバリア機能を改善するスキンケア、③発汗、食事、環境因子などへの対策が3本柱です。


 しかし、頼みの綱であるステロイド外用薬は、「ステロイドが怖い」との誤解から効果的に使われていない現状があります。

 日本でステロイド外用薬の登場が1953年、全身療法のシクロスポリンの登場が2008年。新薬は10年以上出ていませんでした。

 

 期待されるのが国内で2018年に発売となった新薬の生物学的製剤の皮下注射(「デュピクセント○R」)です。当時の臨床試験で4か月後に、平均約8割で皮膚の病変が改善したという結果が出ています*4。


*4 国際共同第Ⅲ相検証的試験 (ステロイド外用薬併用療法:CHRONOS)1,2) 2018年4月


ステロイドへの不安から悪循環が起こっています

 「ステロイドで逆に悪くなった」「副作用が怖い」「依存性がある」「体内に蓄積される」などと誤解している人も少なくありません。

 これらは、ステロイド薬の不適切な使用によるものと言われています。ステロイドに誤解をもっていると、早々に薬をやめてしまったり、塗る量を勝手に減らしたりして、治らずに、ぶり返してしまい、かえって悪化することになってしまいます。


 この悪循環が患者さんを長期に渡って、苦しませている原因と言われています。


症状がよくなっても使い続けることが大事

 症状が出たときだけに治療する方法は、患者さんにも理解しやすいのですが、再発の多いアトピー性皮膚炎では、症状がなくても薬を使うことが大事です。


 これを「プロアクティブ療法」と言って、症状がよくなってからも、薬を急に止めない治療法です。

 アトピー性皮膚炎では、炎症のない部分にも薬を塗って、症状を再燃させないように、徐々に薬を減らしていくことが必要なのです。


 信頼できる医師と相談しつつ、その都度、疑問や不安を解消しながら、治療をしていくことがアトピー性皮膚炎の改善には、大切です。



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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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