浅田先生インタビュー

浅田先生に聞く②「卵巣年齢と実年齢」それぞれ何歳まで妊娠できますか?【ドクターインタビュー】

  • 更新日:2020/03/16

 前回は、浅田レディースクリニックの浅田義正先生に、誤解しがちな「卵子の老化」や「卵子の数」についておうかがいしました。
今回は、気になる「卵巣年齢を測る意義」また、「卵巣年齢が高かった場合、どうしたらいいのか」について聞いてみました!


ドクタープロフィール

浅田先生インタビュー

浅田義正先生プロフィール

医療法人 浅田レディースクリニック 理事長。医学博士。日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。

WEB:浅田レディースクリニック


「卵子の数」はなぜ知る必要がある?

――前回のインタビューでは、妊娠するためには、「卵子の質」と「卵子の数」の両方が大切だ、ということをうかがいました。卵子は老化するから、質のいい若いうちから妊活するのが望ましい、という認識がある方は多いと思いますが、「卵子の数」についてはあまり意識されていない方が多いのではないかと思います。「卵子の数」はAMH(※1)を測ることで知ることができる、ということですが、なぜ「卵子の数」を知る必要があるのでしょうか?

浅田義正先生(以下、浅田先生): 年齢(卵子の質)とAMHの値(卵子の数)のふたつを把握して、不妊治療を進める必要があるため、当病院では、全員にまずAMHの検査を受けていただいています。

「卵子の質」も大切ですが、肝心の卵がないと妊娠することはできませんから、まずは数を知る必要があるんです。「私はまだ若いから、卵はたくさんあるはず」と思い込んでいる方が多いですが、それは違います。前回お話したように、卵子の数と年齢には相関関係がないのです。

AMHを測定して、「卵子の数」が極端に少ないと分かれば、そう分かった時点で卵子を採って保存しておいた方がいいかもしれない。逆に「卵子の数」が多ければ、余裕をもってゆっくり進めていくことができるね、となるわけです。だから、治療を効果的に進めていくためにも「卵子の数」を最初に把握しておく必要があるのです。

この事実を知っている女性は少ないですよね。仕事も忙しくて晩婚になるという時代になっていますね。さらに、妊娠についての正しい知識が広まっていない、というのもあって、子供を作る時期が遅くなり、不妊治療にトライして、そこではじめて卵子の質や数についての正しい知識を得る人もいます。

でも高齢になれば当然それだけリスクは高くなるわけです。ですから、リスクの少ないうちに、結婚、出産ができる社会に変えていく必要がありますし、そのためにはまず正しい知識を知る必要があります。


卵巣年齢が高いからといって、妊娠しにくくなるわけではない

――妊娠についての知識を広めるといえば、昨年(2019年)は、日本で初めて自宅で卵巣年齢(卵の在庫の数)を測定できるキット「F check」も発売されましたね。「F check」をきっかけに卵巣年齢について知った方も多いかもしれません。病院に行かなくても卵巣年齢がわかるようになったことは、忙しい女性にとって嬉しいことですよね。ちなみに、卵巣年齢が何歳までだったら妊娠が可能なのでしょうか?

浅田先生:  ここがややこしいところなのですが、卵巣年齢は、「何歳相当の数の卵を持っているか」の指標です。「何歳相当の質の卵を持っているか」ではありません。たとえば、20歳の女性の卵巣年齢が50歳相当だ、という判定が出たとします。そうすると、数は50歳相当で少ないとしても、質は20歳時点のものなのです。

卵巣年齢が高い場合、妊娠しにくくなるわけではなく、卵の数が少ないというだけの話なんです。卵の経過年数は実年齢と同じですし、受精卵ができたら、その卵の妊娠率は実年齢に比例します。「卵巣年齢が高いからといって、妊娠しにくいとは言えない」という点は理解しておいていただきたいと思います。じゃあ、卵巣年齢を知る意味はないのでは? と思われるかもしれませんが、それは違います。
浅田先生インタビュー 実年齢より卵巣年齢がかなり高く、卵の在庫が少ない、と分かった場合、卵を保存しておくなどの対処をとることができますよね? そういった意味でも、出産を望むなら、早めにAMHを測定しておくことが望ましいのです。


子宮は古くならないため、若い卵子があれば妊娠は高齢でも可能。しかし……

――では、実年齢では何歳まで妊娠・出産が可能なのでしょうか?

浅田先生:  年齢で区切るのは本当に難しいですよね。一例を挙げると、当院では、49歳で妊娠して、50歳で出産予定の方がいらっしゃいます。42歳のときに保存していた卵子を使っての妊娠でした。

子宮は古くなりませんから、「妊娠するかどうか」だけに関していうならば、あまり母体の年齢は関係ないんですよ。子宮の細胞は腸などの臓器と同じで、どんどん入れ替わっていますからね。ただ、妊娠はできたとしても、高齢の場合、そのあとが大変です。血管が老化していますから、動脈硬化や妊娠性の高血圧になったり、合併症が増えたりといったリスクもあります。

ですから、何歳まで妊娠・出産ができるか、という質問にお答えするならば、50歳でも卵子を凍結していたり、卵子提供を受けたりしていても、妊娠だけなら可能です。ですが、その後が大変、ということになります。

実際に不妊治療をされる患者さんには、詳しいデータ、妊娠率などを示してご説明しています。


――次回は、卵巣年齢が高くなる(卵の数が少なくなる)原因や卵巣年齢を測るペースなど、「卵の数」についてより詳しくうかがいます!


>>浅田義正先生インタビュー③「卵の数が減る」のを遅らせる方法ってありますか?に続く。


※1 AMHとは
AMHはアンチミューラリアンホルモンの略で、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンのこと。AMHの値は、卵巣内にどれくらいの卵の数が残っているかを反映する。ただし、AMHの数値が表すのはあくまでも卵の在庫の目安であり、卵の質とは関係がない。

AMHは病院で調べることができるほか、検査キットを使うことで、自宅で簡単に調べることも可能。


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浅田先生インタビュー①「卵子の老化」「卵子の数」についての誤解とは?

浅田先生インタビュー②「卵巣年齢と実年齢」それぞれ何歳まで妊娠できますか?

浅田先生インタビュー③「卵子の数が減る」のを遅らせる方法ってありますか?


浅田先生の著書

最新著書: 『女の子が知っておきたい卵子のハナシ。』
女の子が知っておきたい卵子のハナシ。


不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」

名医が教える最短で授かる不妊治療


浅田レディースINFO

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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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