【妊活の基本の“き”】卵巣年齢を知るべき理由

齊藤先生が語る「不妊になりやすい人の生活習慣」とは?【ドクターインタビュー③】

  • 更新日:2020/02/19

前回のインタビュー「ぶっちゃけ、何歳まで産めますか?」では、生殖医療に40年以上携わってこられた齊藤先生に、「妊娠に適した時期や、いつまで産めるか」についてお話をうかがいました。
今回は、気になる「どういった人が不妊になりやすいのか」についてのインタビューをお届けします!


齊藤英和先生プロフィール

齊藤英和 先生プロフィール

今回お話を伺ったのは…齊藤英和先生

1953年、東京生まれ。栄賢会 梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長。専門は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。


30代・40代から「産みやすい体」を作るためにできることとは?

―30代・40代から妊活や不妊治療を始める方が知っておくべき知識はありますか?

齊藤英和先生(以降、齊藤先生): 妊娠・出産が一番スムーズにできるのが20代前半であることは間違いありません。ですが、30代・40代から子供を望んだとしても、もちろんできることはたくさんあります。気づいたときが吉日です。「もう遅いかも」と悲観的になっても始まりませんから、「今気がついてよかった」という気持ちで、今の状況をベストにするために、今できることに取り組みましょう!
たとえば、妊娠に一番適したBMIは21-22だと言われています。そのBMIにするために日常生活に運動を取り入れたり、ヘルシーな食事を心がけたりするのもいいでしょう。また、生のフルーツ、葉酸サプリ、ビタミンDなどを摂取するのもいいですね。食生活を整える、運動を定期的にする、規則正しくストレスのない生活を心がける、など、できることはたくさんありますよ。


不妊になりやすい人の生活習慣って? お酒は絶対に飲んじゃダメ?

「産みやすい体」を作るためにできることとは

――不妊になりやすい人の生活習慣とは、どういったものでしょうか?

齊藤先生: やっぱり、怠惰でジャンクフードばかり食べていて、運動をしないで、太っていて、タバコを吸っていて、不規則な生活をしていて……という不健康な生活を送っている人は厳しいですね。やっぱり、健康的な生活をする方が、妊娠しやすさはアップします。


―お酒についてはどうでしょう?

齊藤先生: 飲酒はある程度まではいい……と言いたいところだけど、今はまったく飲まない方がいい、というのが医学会の常識になっています。昔は「一杯くらいは大丈夫」っていう説もあったんですけどね。


―お酒は一杯も飲まない方がいい、というエビデンスが出ているのですか?


齊藤先生: うん。出てる。でも……飲むよね。僕も飲むし(笑)。酒は百薬の長っていうのは嘘で、飲まないで済むなら飲まない方がいいです。でもストレスを減らしてリラックスするため、って考えるとちょっとくらいは……と考えたりもするんですけど、まあ、飲まない方がいい、という結果が出ていることはお伝えしておきます(笑)。

「産みやすい体」を作るためにできることとは

―となると、妊娠しやすい体を作るためには、積極的に運動して、早寝早起きし規則正しく生活し、酒タバコは抜き、そしてストレスを感じない生活をせよ、と……。


齊藤先生:難しいよね(笑)。あまり厳しくしちゃいすぎて、ストレスを感じるのも本末転倒だから、どうやってストレスに対処していくのか、環境を整えていくのか、を自分で考えていく必要があるでしょう。

運動といってもそんなに大げさなものじゃなくて、仕事に行くとき一駅手前で降りて歩くとか、その程度のことでいいんです。できれば1日最低30分くらいの運動はしてほしいですね。最近はゲーム感覚でできる運動もありますから、自分で楽しんでできるものを見つけていただければと思います。


―「こういった仕事が不妊になりやすい」などはありますか?

齊藤先生: ストレスが多い仕事は悪影響があると考えていいと思います。ストレスは妊娠の敵ですからね。それに忙しい仕事の場合も、妊娠しやすさを妨げる場合があります。男性の場合、疲れすぎて子供を作る気力がない、ということにもなりかねませんし、忙しいと食生活も乱れる可能性がありますから。


男性が気をつけるべき「不妊になりにくい生活習慣」とは?

「産みやすい体」を作るためにできることとは

―不妊になりにくい生活習慣については、男性も女性と同じことが言えるでしょうか?

齊藤先生: そうですね。同じです。精子も食生活やストレスに影響されますから。
ただ、基本的には女性と同じですが、男性だけが注意すべき点もあります。それは、睾丸を温めないことです。なんで睾丸が下に垂れているかというと、温度を低く保つためなんです。

睾丸を温めると造精機能が落ちますから、ぴちぴちのパンツを履いたり、睾丸周りを温めたりするのはよくありません。


―親が不妊治療をしていた、という人の場合は、遺伝なども考えられますか?


齊藤先生: 遺伝的なものがある可能性はあります。もちろん遺伝だけでなくて環境要因、という場合もありますが。ですが、お母さんが20代で産んで30代後半で閉経しちゃった、という場合、本人もそうなる場合が可能性としてはあるわけです。ですから、自然には授からないようであれば早めに不妊治療を開始した方がいいですよね。

卵巣年齢(AMH ※1)を見れば、卵がどれくらい残っているかはわかりますので、母親が不妊治療をしていた場合は早めにチェックしてみる、というのも一案です。


共働き時代到来。仕事と出産・育児の両立のために変えていくべきことは?

「産みやすい体」を作るためにできることとは

―たくさんの患者さんをご覧になっている先生から見て、不妊治療と仕事の両立は難しいと感じられますか?


齊藤先生: はい。やはり働きながらの不妊治療はハードルが高いと感じます。現状の日本の会社では、「制度があっても使えない」ことが多いらしいんです。「また不妊治療行くの?」と同僚から言われたり、冷たい目で見られたり、ということがザラにあると患者さんから聞きます。

まずは妊娠・出産をサポートしてくれる制度がある会社を選ぶ必要がありますが、制度があっても使えないのでは意味がありません。産み育てやすい社会をつくるために、みんなで空気を変えていく必要があります。

男性に対してもそうです。「定時に上がって子供の世話をしたい」と個人が感じていても、冷たい目で見られるからできない、という男性は少なくありません。男は遅くまで働け、という古い価値観を持っている人もまだまだ多い。それで、家事に本来は積極的な男性でさえ、家に帰るのがすごく遅くなってしまう、ということもあるんですね。これでは共働きで子育てもして、というのは無理です。男性も家庭のことをするのは当たり前だよね、っていう社会にしていかないと。時間はかかるとは思いますが、今、考えを変えるようにアクションを起こさないと、30年後も同じことになるかもしれません。

今の社会制度って「男は仕事、女は家庭」という社会を前提として作られているものですよね。でも今は男女とも働きながら男女とも家庭を営む必要がある。となると、これは今までの制度は絶対違うはずだと思うのです。

「男女が均等に働くために改革を」というのであれば、ただ単に会社での働き方を変えるだけではなく、家庭内についても変えていく必要があります。そうして初めて、女性が産みどきを逃さずに済むのではないかと思います。


―本日は貴重なお話、ありがとうございました!



※1 AMH
AMHはアンチミューラリアンホルモンの略で、発育過程になる卵胞から分泌されるホルモンのこと。AMHの値は、卵巣内にどれくらいの卵の数が残っているかを反映する。ただし、AMHの数値が表すのはあくまでも卵の在庫の目安であり、卵の質とは関係がない。AMHは病院で調べることができるほか、キット(URL)を使うことで、自宅で簡単に調べることも可能。



  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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