【妊活の基本の“き”】卵巣年齢を知るべき理由

齊藤先生に聞く「卵巣年齢を知るべき理由」とは?【ドクターインタビュー①】

  • 更新日:2020/02/18

女子カレLOVABLEでは、日々女性のカラダについての情報を発信しておりますが、そのなかで反響の大きかったもののひとつに卵巣年齢についての記事が挙げられます。
「卵巣年齢って言葉、初めて聞いた!」「自宅で卵巣年齢について知ることができるキットがあるなんて知らなかった」など、妊活世代の女性でも、卵巣年齢については詳しく知らなかった、という方が多いようです。

かくいう私(ライター)も、卵巣年齢についてはあまり知識がない……ということで、今回は、生殖医療に40年以上携わってきた不妊治療のプロ中のプロ、齊藤英和先生にインタビューを行いました!

第一回の本記事では、「卵巣年齢を知ることがなぜ大切なのか」についてお伺いしました!


齊藤英和先生プロフィール

齊藤英和 先生プロフィール

今回お話を伺ったのは…齊藤英和先生

1953年、東京生まれ。栄賢会 梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長。専門は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。


なんで卵巣年齢について知る必要があるの?

――病院では、不妊治療を開始する際、最初の段階で「卵巣年齢の確認=AMH(※1)を調べる」と聞きました。なぜ最初にAMHを知る必要があるのでしょうか?

齊藤英和先生(以降、齊藤先生): 簡単に言うと、顔を見ただけでは、その人が卵をどれくらい持っているかというのはわからないからです。生理が規則的に来ているからといって卵がたくさんあるとは限らないんですね。不妊治療を進めるためには、卵が必ず必要ですが、卵の数は年々減っていくものですから、現段階でどのくらい卵を持っているかをまずは調べる必要があるんです。AMHの検査は、「現段階でどのくらい卵を持っているか」、つまり「卵の貯蓄量」を知るためには欠かせない検査なのです。


――現状の卵の数を認識しておくためには、AMH(卵巣年齢)を調べることがマスト条件なのですね。

齊藤先生: そうです。不妊治療の開始時には、脳の下垂体から出て卵胞発育を促すFSH(卵胞刺激ホルモン)や排卵を促すLH(黄体形成ホルモン)などを調べるのと同時にAMHを調べておく必要があります。
AMHを調べた結果、卵が少ないと判明した場合、早めの治療が必要、ということになります。タイミング法などは短い期間で切り上げて、半年後には体外受精をするくらいスピードをあげる必要がある場合もあります。逆に、卵の数がたくさんある場合は、「ゆっくりと1〜2年かけていきましょう」ということになる可能性もあります。


――AMH(卵巣年齢)を知る一番のメリットは、妊活や不妊治療のスピードを考えるうえで役に立つ、ということでしょうか?

齊藤先生: そうですね。卵が少ない場合は患者さんに焦ってもらう必要があるかもしれないし、逆に多い場合は焦らなくていいですよ、ということができる。不妊治療を進めるうえで、AMHが大切な目安になることは間違いないでしょう。


避妊は知っていても、不妊の知識がない人は多い

齊藤英和 先生プロフィール

――子供を望む女性なら、卵巣年齢は早めに知っておいた方が良さそうですね。でも、卵巣年齢を知る(AMHを調べる)ことの大切さを知らない女性は多そうです。女子カレで卵巣年齢について記事を出したときも、「卵巣年齢なんて知らなかった」という反応が多かったんですよ。

齊藤先生: うーん。それが日本の教育の問題でもあるんじゃないか、と思います。卵巣年齢などの自分の体についての基礎知識は、本来ならばもっと早い時期に知っておくべきことですよね。高校時代に教わっていれば、もっと早い時期にライフプランを考えることができると思うんです。「卵巣年齢っていうものがあるのか」「年齢とともに妊孕性(にんようせい)*2はこんなに変わるんだ」ということを知っていれば、「じゃあ私は20代に産もうかな」「私は20代のうちは仕事に集中して、30代から始めよう」と計画的に取り組めるはずです。
今は学校で避妊の仕方は教えているけれど、不妊については教えていない。だから「気がついたら妊娠しにくい年齢になっていた」となって初めて妊娠・出産の知識を学び始めるという人も多いんですよね。妊娠・出産についての教育があまりされていないので、高齢になってから不妊治療を開始して、何百万も費やす、という人も珍しくありません。せっかく貯めたお金を一気に使わなければいけなくなるなんて、若いころに不妊について学ぶ機会があったら防ぐことができたんじゃないか……と医療に携わるものとして、やるせない思いをすることは少なくありません。


*妊孕性(にんようせい)…妊娠する力、妊娠のしやすさ


――不妊治療を受けている患者数が世界第1位という背景を考えると、知ってさえいれば……という気持ちになる女性は少なくないかもしれませんよね。

齊藤先生: 「避妊しなければ自然に妊娠するのが当たり前」と思っている人も多いですから、妊娠や出産についての知識について、医療従事者、教育者ともに、もっと発信し、啓発していくべきだと思います。卵巣年齢についても、「知らなかった」ではなく、「高校のときに習いました。そんなの知ってますよ!」という時代になったら、不妊治療に時間やお金を使わなくてはならない人はもっと少なくなると思うのです。


――インタビュー②『ぶっちゃけ何歳まで産めますか?』へ続く


※1 AMH
AMHはアンチミューラリアンホルモンの略で、発育過程になる卵胞から分泌されるホルモンのこと。AMHの値は、卵巣内にどれくらいの卵の数が残っているかを反映する。ただし、AMHの数値が表すのはあくまでも卵の在庫の目安であり、卵の質とは関係がない。AMHは病院で調べることができるほか、キット(URL)を使うことで、自宅で簡単に調べることも可能。



  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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