更年期

意味もなくイライラして人にあたる。逆に、落ち込んで気分がふさぐ…。両方とも更年期の心の症状です

  • 更新日:2020/01/26

 イライラして怒りっぽくなるのは、更年期に多い心の症状。逆に、理由なく気持ちがふさいで、落ち込み、気力がなくなるという症状も、更年期に多く起こります。なかには、家事や仕事がいつもどおりできない、夕食のメニューも考えられない、人に電話をかけるのもイヤという人も。更年期障害の症状は、心のトラブルとして現れることが少なくありません。その代表例がイライラと、気分の落ち込みや不安感で原因は同じ。更年期特有の心の症状の乗り越え方をお伝えします。


年齢的にも負担が増え、そこに女性ホルモン低下が追い打ちをかける

夫婦喧嘩

 訳もなくイライラして周りの人にあたってしまったり、ちょっとしたことで怒ってしまうことも。あとで、そんな自分を後悔し、またイライラしてしまうという悪循環に陥ります。済んだことをクヨクヨと思い返し、イライラ、ムカムカが募ります。


 その逆に、気分の落ち込みや不安感が起こることもあります。更年期を迎えるころになると、子どもや夫との関係、自分の仕事の悩みやストレスなども増えていきます。さらに両親の世話や介護も、となると、もともと女性の負担が重かったものが許容範囲を超えてしまいます。


 また、女性ホルモンのエストロゲンの減少で、イライラしたり、怒りっぽくなったり、忘れっぽくなり、判断力が滞ったり、体力や気力も低下してくるころです。なおさら、こういった変化に戸惑うことも少なくありません。

 今まで自信を持ってさまざまな役割をこなしてきた人ほど、将来に対して漠然と不安を抱いたり、役割を失った喪失感や寂寥感から、気分が落ち込んでしまうのも無理ありません。心身ともに不安定になり、何もする気にならない虚脱状態に陥る人もいます。


 女性は、ストレスを感じ、悩み、抱えこんで我慢してしまわないこと。仕事上の人間関係、子育て、夫とのコミュニケーションや会話の工夫や見直しも必要な年代です。


ワクワク、ウキウキは女性ホルモンのおかげだった

楽しそうな女性

 やはり心の不調も、女性ホルモンが低下してきている証拠です。更年期障害になると、さらに強く現れる場合もあります。


 女性ホルモンが十分ある若いころは、箸がころがっただけで楽しくて、フフフッと笑ってしまった経験はなかったでしょうか。女性ホルモンがたくさんあると、明るく楽しい気持ちになるのです。


 女性ホルモンの研究が進むまでは、年を重ねて分別ができ、簡単なこと、つまらないことでは笑えないと思われていました。しかし、そうではなかったのです。

気持ちがワクワクして素敵! と思えるのは、女性ホルモンのおかだったのです。


女性ホルモンは心をコントロールする作用も

メンタル

 ここでもう一度、女性ホルモンの心への影響について、おさらいしておきましょう。

 女性ホルモンのエストロゲンには、人間の行動や情動、情緒などをコントロールする作用まであります。ですから、更年期に向かって、エストロゲンが低下すると、これらのコントロールがうまくいかなくなり、精神的な症状が出てしまいます。


 近年、メンタル系の脳の働きと、ホルモンとの関係が解明されてきています。女性ホルモンは、心の安定をはかるセルトニン分泌にかかわっていることもわかっています。

また、女性は、男性よりセロトニンの合成速度が遅いこともわかっています。女性は立ち直りに時間がかかり、女性ホルモンが下がると、余計にセロトニンの分泌が落ちます。

このように、更年期世代の女性には、メンタルの対策が不可欠であることがわかります。


更年期うつから、うつ病に移行する前に

心療内科

 ひどい落ち込み、気分低下がある人は、一度、精神科や心療内科を受診しましょう。

 更年期障害と心の病気は、合併していることが多いと言われています。更年期障害によるうつっぽさから、本格的なうつ病へと移行する場合もあります。そうなる前に、受診することも大事。


 更年期障害の心の不調を診てくれる精神科、心療内科で相談しましょう。通いやすいクリニックが見つからない場合は、婦人科を受診しましょう。

 また、全国に展開されている女性専門外来も丁寧に話を聞いてくれるでしょう。医師との相談で、よりふさわしいクリニックや専門医を紹介してもらうこともできます。


低用量ピルや女性ホルモン補充療法は心の変動を整える

中年女性服薬

 婦人科で相談して、低用量ピル(OC)やホルモン補充療法(HRT)を試してみるという手もあります。

 低下した女性ホルモン(エストロゲン)を補充すると、精神的に安定し、気持ちが明るく、穏やかな気持ちになれます。

ホルモンのアップダウンがあると、精神的に不安定になり、不安感も増すと言われています。ホルモンの変動を少なくして一定にすることは、精神的な安定に大切。


 まだ生理がある時期なら、医師と相談の上、低用量ピル(OC)の選択も可能です。閉経後には、エストロゲンを補充するホルモン補充療法(HRT)が選択肢になります。

 気分の落ち込み、イライラ、焦燥感などを緩和でき、メンタルを安定させる作用があると言われています。


自分のストレス発散法を確保して

散歩

 更年期のメンタルケアにおける運動の効果は抜群です。好きな運動を見つけて、始めるにはいいチャンスです。更年期世代に運動を習慣にしておくことは、人生100年時代の一生の財産になります。

 運動習慣のない人は、ウォーキングから始めてみては。また、インナーマッスルを鍛えるヨガやピラティスもおすすめです。


 植物や水、川、海を見て歩くだけでも、精神的に上向きになれます。また水には、マイナスイオン、フィトンチッド効果も。昔から海洋療法があるくらい、海も心と体を穏やかにしてくれます。

 植物や動物などの世話で、日常的なメンタルケアをしたり、趣味の時間を多くとったり、買い物、エステ、ネイルサロンなど、小さな楽しみを見つけることも大切です。


 好きな香りを楽しむのもいいでしょう。香りと脳やメンタルとの関係も明らかになってきています。

 また、セントジョーンズワート、イランイラン、カモミール、ラベンダー、ローズ、ジンジャーなどのアロマオイルは、気持ちを穏やかに明るくする作用があると言われています。


自分の不調を周りの人に理解してもらうことも大事

しいたけの中華麺

  自分だけでうまく改善できないときは、友人や信頼のおける知人に相談してみるのも方法です。同じ苦しみを乗り越えた経験者の言葉が救いになることもあります。


 また、夫や家族、近しい仕事仲間には、「更年期でこんな不調がある」「意味もなくイライラして」とか「理由もないのに落ち込んでやる気が出ない」と、体調の変化を伝えて理解してもらえると、よりいいと思います。特に夫や家族には、「つらいので、家事を手伝って」と言葉に出して協力を求めることは大切。

 逆に、家族に、更年期世代の人がいて、つらそうなら、「手伝えることがあったら手伝うよ」「つらいときは休んでいいよ。代わりにやるから」と声をかけて、家事や役割を分担してあげてください。


 完璧主義の人ほど気分が落ち込み、不安感に落ち入りやすいと言われています。完璧主義の人は、目標を高くもちやすく、達成も難しく、自分を責めることにつながりがち。完璧にはできないこともあるので、ありのままの今の自分を認めて、受け入れると気持ちが楽になることもあります。

 また、若いころのように、仕事も家事も時間をかけてできなくて当たり前。その分、経験値が高いので、効率よく道具を使ってこなせたり、丁寧さが少しダウンしても自分優先でわがままにやれる仕事や家事のこなし方で良しとしましょう。


 また、タバコを吸わない、睡眠を十分にとる、疲労、ストレスをためないことも大事。楽しい、のびのびしたことを考えると、脳が活性化するのにいい影響を与えます。自分らしい精神コントロール法を、更年期に身につけておくと将来の役に立ちます。



▼バックナンバー

・薄毛、抜け毛、髪のコシがない、爪が割れやすいのも更年期のせい?


・ピーンと張っていた肌がいつのまにか…年々気になる、たるみ、シワ、シミ、くすみにどう対抗する?!


・乾燥、かさつき、かゆみ、こんなことなかったのに…。今までと違う更年期の肌対策


・口が乾く、舌が痛い…、ドライマウスは更年期から急増!シェーグレンとの見極めが大事


・エストロゲンの減少で、目のうるおいが低下。ドライアイや目疲れ、老眼も更年期に進む!


  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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