おなかの中の赤ちゃん

おなかの中の赤ちゃんは実際どのくらい音が聞こえるの?

  • 更新日:2020/01/29

「おなかの中にいるときから英語を聞かせていると、将来学習するときに差がつく」「モーツアルトが胎教にいい。赤ちゃんの情操教育のためにクラッシックを聞かせよう」など、「おなかの中にいるときから、〇〇を聞かせるとGOOD」という情報を耳にしたことがある方は多いでしょう。


しかし、実際、おなかの中にいる赤ちゃんは、クラッシック音楽を楽しむことはできるのでしょうか?


今回は、小西行郎先生著『もっと知りたい、おなかの赤ちゃんのこと』を参考に、赤ちゃんの聴力のナゾに迫ってみたいと思います。


お母さんが妊娠に気がつく前から「耳」をつくる準備は始まっていた!

実は、妊娠5〜6週に入ったころから、赤ちゃんの耳のもととなる穴はできはじめているといいます。つまり、ほとんどのお母さんが妊娠に気がついていない時期から、脳などの形成と同じくして、耳をつくる準備は始まっているのです。


ですが、穴の状態では、耳としての機能はまだ果たしていません。実際に、聞こえるようになるのは、妊娠20週〜21週ごろで、24週ごろには聞覚器官がいちおう完成するといいます。


赤ちゃんはどんな音を聞いている?

胎児

では、妊娠20週〜21週目以降は、赤ちゃんはどういった音を聞いているのでしょうか?

本書によると、成長段階で聞こえる音も変化していくといいます。


まず、妊娠20週〜21週目以降は、お母さんのからだの中の音を聞いています。心臓の音や血液の音、食べ物が消化器官に通る音、さらにはお母さんの声も聞こえています。24週ぐらいになると、聴覚機能がいちおう完成するため、人の話し声、包丁で何かを切る音、テレビや音楽、車の音などの、お母さんに聞こえている音がおなかの赤ちゃんにも届くようになります。


ここで「あ、やっぱり赤ちゃんは聞こえているんだ! じゃあ、しっかりと胎教しなければ」と思うのは早計です。というのは、「聞こえている」とは言っても、この段階では、私たち大人が聞こえるようには聞こえていないからです。

どのように聞こえているか、ということについては、お母さんの聞こえ方とは違います。だいぶ前のことになりますが、国立岡山病院の山内先生の研究グループが、出産直前の破水した子宮のなかに、実際にマイクを入れて確かめてみました。そうすると、プールにもぐったときのような、くぐもった音が聞こえてきたそうです。お母さんのからだの音の向こうから、しかも羊水に隔てられた状態で聞こえてくる音ですから、聞き取りにくいくぐもった音になるというのもうなずけます。(P.64)

また、現在の研究では、「おなかの赤ちゃんは、周波数の違いによる音の高低や、音量の強弱は聞き分けられるけれど、ことばそのものを聞き分けることはできない」と考えられていると言います。


語りかけや胎教の効果についての科学的根拠はまだない

胎教

「おなかの赤ちゃんには聴力がある」という事実があるため、「胎教」を提唱する人は少なくありません。

しかし、小西先生は、「特別な胎教は必要ない」と言い切っています。

現在のところ、毎日聞いている音や声が、おなかの赤ちゃんの発達にどこまで影響を与えているかということについては、科学的な証明は何ひとつとしてなされていません。また、聴覚を通した特別なはたらきかけが、おなかの赤ちゃんの何かを特別に発達させたというデータもありません。(略)特別な胎教は必要ない。それが私の考え方です。赤ちゃんはおなかのなかで、きちんと発達の道筋にそって、自分自身で成長しています。それに対して、外側からあれこれ与えられる影響は、さして大きくないと思います。(P.65-66)

おなかの中の赤ちゃんに語りかけたり、好きな音楽を聴いたりすることは、お母さんがリラックスできたり、赤ちゃんに対する愛情を育んだりする効果はあるでしょう。ですが、おなかにいる間から英才教育をしよう、と考えて行う「胎教」には、科学的根拠はないようです。


さいごに。「胎教しなきゃ!」「ストレスを感じちゃダメだ……」から自由になろう

妊婦ストレスフリー

今回は、おなかの中の赤ちゃんが実際にどの程度聞こえているのか解説してきました。


「語りかけや胎教についての科学的根拠はないため、特別な胎教は必要ない」というのが今回の記事の結論です。


また、小西先生は、「お母さんの安らぎが、おなかの赤ちゃんにもたらす影響のデータはない」とも述べています。妊娠中のお母さんの精神状態は、まったく関係ないとは言えませんが、よほど強いショックやストレスが長期間続くような状態でなければ、赤ちゃんのその後の成長発達に影響を及ぼすようなことにはならないそうです。


妊娠中はストレスなく幸せに暮らすにこしたことはありませんが、「一度もストレスを感じない。常にハッピー」でいられる人はいません。科学的には、お母さんのストレスが赤ちゃんに悪影響を与えるという根拠はないのですから、あまり神経質になる必要はない、と言えるでしょう。


今回ご紹介した本

『もっと知りたい、おなかの赤ちゃんのこと』

著者:小西行郎

出版社:赤ちゃんとママ社



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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