PMDD

生理前だけ「うつ」っぽい……それ、PMSじゃなくPMDDかも?

  • 更新日:2020/07/22

生理前にイライラしたり、うつっぽくなったり、落ち込んだり、涙が出てきたり…そんな風に精神の不調を感じる人は少なくないでしょう。


「これって、PMS(生理前月経症候群)だよね」と理解し、自分なりに対策しているけど、生理前はいつも辛い、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?


あなたが感じている生理前の不調が、生活に差し障りが出るレベルのものならば、もしかしてそれはPMSではなくPMDD(月経前不快気分障害)かもしれません。


今回は、生理前にうつ病っぽくなってしまう女性特有の症状、PMDDについて、産婦人科医・山田和男先生著『月経の前だけうつ病になってしまう女性たち―PMDD(月経前不快気分障害)を治す』を参考に解説していきます。


8割の女性が生理前に不調を感じている

生理の数日前から、生理が始まるまでの期間は、女性ホルモンのバランスが変化するため、体や心にさまざまな不調があらわれます。


・生理前の体の不調の例

頭痛・腰痛・下腹部の痛み・吐き気・疲労・倦怠感・むくみ・ニキビや吹き出物が多くなる……など。


・生理前の心の不調の例

イライラ・漠然とした不安・情緒不安定・落ち込み・集中力や判断力の低下・過眠・眠気…など。


このような症状は生理の3〜4日前から始まることが多く、生理が始まると数日以内に消えます。このような症状をPMS(月経前症候群)と言い、生理のある女性の約8割がこういった症状を感じていると言います。


うつ病のような不調があらわれたら。PMDDかも?

女性うつ

これまで、月経前のこういった不調は「PMSである」とひとくくりにされていました。ところが、最近になって、PMSと考えられていた女性の一部は、うつ病に匹敵するほどの重い精神症状が生理前にあらわれ、日常生活に大きな支障をきたしていることがわかってきたと言います。

現在では、これらの精神症状が重い患者さんは、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder 略してPMDD)と診断されています。PMDDは、当初(1987年)は、黄体期後期の不機嫌性障害(LLPDD)という名称で呼ばれていましたが、1994年以降はPMDDという呼び方に統一されました。ですから、PMDDは比較的新しい病気であるといえます。PMDDの女性は、月経の前以外の時期には、PMDDではない女性と同じような質の高い生活ができるのですが、月経の前になると、うつ病の患者さんと同様の重い精神症状が出てくるので、通常の生活や活動に支障をきたしてしまいます。(P.14-15)

PMDDの治療方法は?

抗うつ薬

PMSの症状が重い場合、ホルモン療法や、加味逍遙散などの漢方薬による治療を行うことがあります。PMSに苦しんでいる場合は、婦人科のクリニックに出向き、漢方薬などを処方してもらうとよいでしょう。

ですが、PMDDの治療は、PMSと同じやり方は通用しません。


著者いわく、PMDDの治療に関しては、ホルモン療法や漢方薬による治療はほとんど効果がない、というのが世界的な認識だと言います。では、どういった治療薬で治せるのでしょうか?


それは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に代表される抗うつ薬です。


「抗うつ薬はなんだか怖い」というイメージを持っている方も多いと思います。ですが、「抗うつ薬は飲み始めるとやめられない」という噂には、科学的にはなんの根拠もない、と著者は言い切り、PMDDの疑いがある場合は精神科で適切な治療を受けることが望ましい、と述べています。


なぜなら、PMDDは、毎月現れる不調であると同時に、放置しておくと本物のうつ病になってしまう危険性のある症状だからです。PMDDが重い方は、子どもを産んだあとにおこる産後発症のうつ病にかかりやすい、というデータもあるそうです。


病状を悪化させないためにも、「毎月、生理前に精神的な不調(抑うつ、絶望感、自己卑下、情緒不安定など)に苦しめられており、対人関係を悪化させてしまったり、生活に支障が出る」という人で、漢方薬などでPMS治療を進めていたが効果が出ないという場合には、PMDDを疑い、精神科で治療を受けることも検討してみましょう。


さいごに

病院

今回は、女性特有のPMDDという症状について解説してきました。


ここまで読んできて、PMSとPMDDの決定的な違いがわからない、と思われた方もいるかもしれません。「自分はPMSが重い方と思っていたけれど、もしかしてPMDDなのかも」と思われた方は、本書をチェックしてみましょう。PMDDのチェックシートがあるので、自己診断が可能です。(最終的な診断は精神科医に任せましょう)


PMDDは認知度が低いため、治療方法があるにも関わらず、「耐えるしかない」と思って我慢してしまいがちな病気です。知識を身につけることで、症状を和らげられる方法に出合える可能性はありますから、「毎月、生理前にうつ病みたいになってしまい本当に辛い」という方は、本書をチェックしてみてはいかがでしょうか。


今回ご紹介した本

『月経の前だけうつ病になってしまう女性たち―PMDD(月経前不快気分障害)を治す』

著者:山田和男

出版社:講談社



【バックナンバー】女性を幸せにする本

予生理前、わけもなく泣いていた私がもっと早く知りたかったこと
30代から知っておきたい「更年期を乗り切る7つのコツ」とは?
「結婚して子どもを産む」以外の生き方に目を向けてみよう
医師が語る「生理前のイライラ・体の不調(PMS)を和らげる食事」
無痛分娩を選ぶのは「日本人3割、外国人9割」?妊娠・出産のリアル
女性を幸せにする本
  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

この記事がいいと思ったら
いいね!しよう

Related関連記事

Pick Up編集部ピックアップ

Rankingランキング

#tag