
100歳以上の100人に聞いた!毎日の食事の共通点とは?
- 更新日:2019/11/19
- 公開日:2019/11/19
日本人の寿命が長いことは昔から有名ですよね。今や100歳を超える高齢者は過去最高の71,238人との調査結果もあるのだとか。一方で、健康寿命という点で見るとまだまだ課題が残る悲しい現状です。
そこで今回は長寿の秘訣を探るべく、キューサイ調べ「100歳以上の食事と運動の実態」をご紹介します。
100歳以上の100人の3日間の食事日誌を見てあることが明らかに!
3日間の食事900食のうち約9割の食事で「たんぱく質」をしっかりと摂取
キューサイが実施した調査では、元気な100歳以上の方に、3日間の朝食・昼食・夕食、計9食の食事内容を「3日間の食事日誌」として記録してもらっています。その結果、3日間の食事900食のうち、たんぱく質をしっかりと摂取した食事は809食(約89.9%)と判明しました。

特によく食べられていた食材は、「鶏・うずらなどの鳥の卵」が31.9%、「豆腐(厚揚げ等も含む)」 22.7%、「牛乳」が22.6%で、続いて「ハム、ソーセージ、ベーコンなど肉の加工品」が15.6%、「豚肉」・「タイ・タラ・カレイ・鮭/サーモン等の白身魚」が13.9%となり、動物性たんぱく質を含む食材が上位にあがっています。
また、1食でたんぱく質を多く含む食材が2品以上食されていることも調査から明らかになりました。
「誰かと一緒に食事を摂っている人」は8割超
続いて、食事の時は誰かと食卓を囲んでいるかを聞いたところ、「ほとんど誰かと一緒に食べている」が70%、「時々1人で食べることもあるが、誰かと食べることが多い」が11%となり、8割以上の方が誰かと一緒に食事を摂っており、家族や友人と会話をしながら食事を楽しまれているようです。
「自分の歯が残っている人」は約3人に1人、前歯でお肉をかみ切れる人は約6割
元気な100歳以上の方に、残っている歯の本数を聞いたところ、「3/4くらい残っている」が6%、「半分くらい残っている」が15%、「1/4くらい残っている」が12%という結果に。約3人に1人は自分の歯が残っていることが分かりました。

また、義歯も含めて58%の方が「食事の時に前歯でお肉をかみ切ることができる」、同じく59%の方が「奥歯で固い食べ物をかみ砕くことができる」 と、『自力で食べ物をかむことができる』との回答があり、半数以上の方が自分で咀嚼して食事をとっていることも判明。
そして、以前から通っているかかりつけの歯医者があると答えた方は49%と、ほぼ半数。口腔機能の低下は身体の衰えの一つともいわれ 、食事をするための「歯」も大切にされていることがうかがえます。
長寿の秘訣に「食」を挙げた人は5割以上
元気な100歳以上の方に「長寿の秘訣」を聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられました。
長寿の秘訣に関するコメント
・好き嫌いなく何でもよく食す。特に肉、魚、煮物、フルーツが大好き。(茨城県/100歳/女性)
・朝食はいつもパンを食べている。牛乳もかかさない。(茨城県/100歳/女性)
・自分の健康や食べ物に気をつかい、特に納豆を毎朝食べるように心がけている。(千葉県/100歳/男性)
・食事をきちんととり、バランス良く3日に1度はお肉を食べるように気をつけてきた。(佐賀県/100歳/女性)
・三度の食事は肉を主として食べる。好き嫌いがなく何でも食べる。(大阪府/100歳/女性)
中には「好きなものだけを食べる」「お肉料理が大好きでよく食べる」など、好きなものを食べることが秘訣という回答も。
フレイル(※1)チェック「指輪っかテスト」(※2)は3人に1人がクリア
元気な100歳以上の方に、ご自分の筋肉量が測れる簡易型のフレイルチェック「指輪っかテスト」(両手の人差し指と親指で輪を作り、利き足でない方のふくらはぎの1番太い部分を力を入れずに軽く囲む。すき間ができるとフレイルの要因の一つであるサルコペニア(※3)の可能性が高い)を試してもらいました。その結果、ふくらはぎを「囲めない人」が14%、「ちょうど囲める人」が24%と、3人に1人の方は筋肉量が多く、フレイルの危険度が低いことが判明しました。

※1 フレイルとは、加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像(公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)。
※2 東京大学高齢社会総合研究機構が実施した柏スタディを元に考案されたフレイル予防プログラムのひとつ
※3 サルコペニアとは、加齢や疾患により全身の筋肉量が減少することで、握力低下や歩行などの身体機能の低下が伴うもの(公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)
元気な100歳は、世間の出来事に関心があり、若い人との会話を楽しんでいる
また、元気な100歳以上の方に、新聞などを読んでいるか聞いたところ、55%が新聞などを読んでおり、このことからも世間の出来事に関心があることがうかがえます。
同様に、若い人に自分から話しかけることがあるか聞いたところ、76%、約4人に3人は話しかけることがあると回答。元気な100歳以上の方は、情報に接することを好み、周りの人とのコミュニケーションを楽しむなど、社会とのつながりを持っている姿が見られます。
監修医師コメント『健康長寿には、たんぱく質を摂って筋肉量を維持』
以下、医師であり、日本サルコペニア・フレイル学会理事、熊本リハビリテーション病院リハビリテーション科副部長・栄養管理部長の吉村芳弘先生のコメントをご紹介します。
まず、「歳を取ったら粗食」の考えは改める必要があります。健康長寿には「たんぱく質」をしっかり摂取することが大切です。また、何を食べるかだけではなく誰と食べるかも大切で、一人で食事をする(孤食)のではなく、人と食事の時間を過ごすことも健康で長生きする秘訣でしょう。さらに、食のためには「歯」を大切にすることも重要です。
そして、今回の調査で分かった、100歳でフレイルチェックの指輪っかテストをクリアしているのは驚きの結果です。筋肉量の維持こそ健康長寿の秘訣ともいえます。指輪っかテスト自体もしゃがむ動作が必要なため、身体能力が維持されていると推察されます。
今回の調査で分かったのは、健康長寿のために大切なのは筋肉量の維持。筋肉量をの維持するためには本格的に老化が進む前から、筋肉量が維持出来るだけのたんぱく質をしっかり摂り、筋肉が衰えないように適度に運動をするという習慣をつけておくことが大切かもしれません。
【参考】
<吉村 芳弘(よしむらよしひろ)先生プロフィール>
日本サルコペニア・フレイル学会理事。熊本リハビリテーション病院リハビリテーション科副部長・栄養管理部長。医師。専門分野はリハビリテーション医学と臨床栄養学。外科医師の経歴から術後のリハビリテーションの重要性を痛感し、現在はリハビリテーションと栄養管理に並行して取り組む「リハビリテーション栄養」という視点から、積極的に臨床研究や講演を行っている。
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