妊婦

無痛分娩を選ぶのは「日本人3割、外国人9割」?妊娠・出産のリアル

  • 更新日:2019/11/06

「将来、子どもがほしい」と考えている女性なら、妊娠・出産についての情報をなんとなく集めている、という方も多いでしょう。

ですが、産婦人科医・富坂美織先生は、日々診療している中で、「産婦人科医と患者さんの妊娠・出産に対する知識と意識には、大きなギャップを感じている」と言います。


近年、卵子の老化によって妊娠しにくくなってくるという事実はやっと認知度が高まってきましたが、まだまだ「不妊の原因の半分は男性」「出産をきっかけに現在でも年間40人の女性が死亡している」といった基本的な事実は知れ渡っていません。


こういった事実を知らないと、「緊急時に適切な処置が受けられず、命を落とした」「女性だけが不妊治療に通っていて、全く成果が出なかった」といった事態にもなりかねません。

妊娠・出産は人類の自然な営みであるにも関わらず、「意外と大切な事実が知られていない分野」でもあるのです。


今回は、富坂美織先生著『「2人」で知っておきたい 妊娠・出産・不妊のリアル』から、意外と知られていないけれど、知っておいたほうがいい、妊娠・出産のリアルについて紹介していきます。


意外と知られていない妊娠・出産のリアル1:助産院と産婦人科医院の違いとは?

「出産をどこでするか」で悩む女性は多いでしょう。病院で産むか、助産院で産むかで迷う方もいらっしゃいます。

病院と助産院の違いは、端的に言うと「病院には医師がいて、医療行為ができるが、助産院では医療行為はできない」という点です。そのため、基本的には、高齢出産や合併症がある方など、医療処置が必要な可能性が高いケースは自動的に病院で産むことが推奨されます。


では、どのような人が助産院で産むことになるのかというと、「できるだけ医療の介入を受けず、ナチュラルに産むことを目指している人」です。


(助産院は、)陣痛誘発剤、無痛分娩を行うための硬膜外麻酔、会陰切開などは行いません。ですから自然志向の人や、経産婦さんが助産院を選ぶことが多いようです。助産院のよいところは、アットホームな雰囲気の中で、助産師さんが妊娠、出産、産後、育児相談まで付き添い、見守ってくれることです。(略)なるべく医療の介入を避けたいと思っている人にとっては、助産院は選択肢になるでしょう。(P.126)


ただし、「自然に近い分娩」をしたいという目的で助産院を選ぶのであれば、そうした分娩ができる病院もありますし、助産院では何かあったときに、(基本的に助産院は病院と提携していますが、)すぐに医療行為を受けられないリスクもありますから、十分検討してから産む場所を選択するべきでしょう。


意外と知られていない妊娠・出産のリアル2:無痛分娩が日本で普及しない2つの理由とは?

無痛分娩

富坂先生は、日本に無痛分娩が浸透しないのは、ふたつの要因があるのでは、と分析しています。


私が現在勤務する山王病院では、日本人も外国人もほとんどが硬膜外麻酔(引用者注:分娩の痛みを和らげる麻酔)を希望しますが、私のこれまでの愛育病院などでの経験では、日本人だと3割くらい、外国人で9割くらいの方が希望するイメージです。日本で硬膜外麻酔があまり普及していない理由は2つあります。

1つは精神的なものです。日本では「痛みはお産のときに必要不可欠なものだ」「赤ちゃんを産むときに痛みを経験し、それを乗り越えることで成長できる」という精神論が妊婦さんの中にあって、意外と希望されないのです。(略)もう1つの理由は麻酔科医の存在です。アメリカで硬膜外麻酔を行う場合、麻酔科医が麻酔を入れ、患者さんのケアも行い、報酬ももらいます。しかし日本の場合は、人手不足もあって産婦人科医が硬膜外麻酔を行う施設も多くあります。その場合、お産への対処で手一杯で、痛みに対して麻酔の速度や量のきめ細やかな対応ができないと言うことも考えられます(P.129-130)


無痛分娩を確実に希望したい場合は、病院に硬膜外麻酔をできる体制・人員が揃っているかを確認しておいた方がよいでしょう。ちなみに、硬膜外麻酔の料金は病院によって異なりますが、出産費用とは別に、麻酔代金・処置代金として、15万〜16万程度の料金設定のところが多いようです。


さいごに。「将来子どもがほしい」なら、基本的な知識を習得しておこう

本を読む女性

今回は、知っておきたい妊娠・出産の基礎知識をご紹介しました。


本書では、今回ご紹介したこと以外にも、

・産後ダイエットの方法

・出生前診断のしくみとリスク

・女性が注意すべき妊娠・出産に関する病気

など、知っているようで知らない妊娠・出産にまつわる知識が多数紹介されていました。また、男性向けの知識も盛り込まれています。


将来子どもを産むことを考えている人なら、実際に産む前から、男女の体や妊娠・出産にまつわる基本的な知識を身につけておくことが大切です。


気になった方は本書をチェックしてみてはいかがでしょうか。タイトルに「2人で」とあるように、男女両方向けに書かれているので、パートナーと一緒に読むのもおすすめです。


今回ご紹介した本

『「2人」で知っておきたい 妊娠・出産・不妊のリアル』

著者:富坂美織

出版社:ダイヤモンド社



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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