
プレ更年期・更年期世代の腹痛、お腹の張り
- 更新日:2020/08/12
- 公開日:2019/08/25
便秘ではないのにお腹が張って、ひどくなると腹痛が起きることも。また、体が冷えたり、疲れたりすると、胃腸の調子が低下します。更年期になると、胃腸機能も少しずつ低下していきます。以前はそんなことなかったのに、冷たいものを食べたり、水分を摂りすぎたりすると、胃や腸の調子がすぐ悪くなると感じる人も多いようです。食事の量もたくさん食べられなくなることも。プレ更年期や更年期から起こりやすい胃腸症状への対処法をお伝えします。
プレ更年期・更年期には胃腸機能が徐々に低下していく……

プレ更年期から更年期になると、徐々に胃腸機能も低下していきます。特に、若いころから胃腸が弱いと感じていた人に多いようで、以前と同じように冷たいものを摂っていると、胃腸の調子がすぐに悪くなる感じがするのだそう。
食事量も以前のようには、たくさん食べられなくなり「前はこのくらい美味しく食べられたのに……」と落ち込むこともあります。
また、便秘ではないのにお腹が張って苦しい、ひどくなると腹痛も起きるという人もいます。
これらは年齢を重ねることで、胃腸機能が低下してきたためです。更年期世代は胃腸機能の曲がり角。
胃腸機能が低下しているときに、冷えや疲れが重なると、お腹の張りや腹痛を起こしやすくなります。この胃腸機能の低下も、更年期のなせる業。女性ホルモンの低下も原因のひとつです。
排卵後から生理前に起こりやすい痛みもあります
下腹部の脇がチクチク痛む、卵巣のあたりが痛むという人もいます。
病院に行くほどの痛みではないので、気になるけれど、そのままにしているという声をよく聞きます。
月経周期が28日の人であれば、月経から13~15日目くらいの時期が排卵期と考えられます。この時期に、下腹部の張りや痛み、腰痛などの症状があれば、「排卵痛」の可能性があります。
排卵後、卵巣全体が少し腫れたようになります。これによってお腹の張りや痛みが出やすくなることがあります。また、同時に卵巣から多量の女性ホルモンが出るので、この影響で腸の動きが悪くなり、お腹が張りやすくなるのではないかと考えられています。
排卵痛は、生理的なものなので心配はいりませんが、いつもは軽い排卵痛ですぐに治まるのに、今回は立ち上がれないほど痛い、出血が伴う、あるいは痛みが1週間以上続くという場合は、すぐに受診しましょう。
通常の排卵痛は1~2日ですぐ治まります。1週間以上痛みが続く場合は、卵巣出血や黄体出血の可能性が考えられます。
また、若いときには感じなかったのに、更年期になってから……という場合は、排卵の時期がずれてきたり、ホルモンバランスが乱れ始めているせいかもしれません。また、ほかのプレ更年期、更年期の症状と同じく、PMS期の症状に変化が起こっていたり、PMS(月経前症候群)が少し重くなってきているのかもしれません。
いずれにしても、心配な場合は婦人科を受診して、卵巣や子宮の様子を経腟超音波で診てもらいましょう。
プレ更年期・更年期のお腹の症状は、漢方薬が得意分野

PMSや更年期の症状による、お腹の張りや痛みを抑えるには、漢方薬が得意分野です。体力が落ちていて、お腹が冷えると、張りやすくなります。
女性のお腹の張りに効く漢方薬は、桂(けい)枝(し)加芍薬(かしゃくやく)湯(とう)があります。そのほか、桂枝茯苓(けいしぶくりょう)丸(がん)、補中(ほちゅう)益(えっ)気(き)湯(とう)、桃核承(とうかくじょう)気(き)湯(とう)なども使われることがあります。
ひとりひとりの体質や症状にあわせた漢方を処方してもらうと、お腹の症状だけでなく、その他の不調も一緒に解消できる手立てになります。
漢方薬は、下痢、便秘、吐き気を感じる人にも、即効性があります。長く飲み続けなくても、2~3服で効果を感じる人も多いので、婦人科の医師に相談して試してみるといいと思います。
▼詳しくはこちらをチェック
プレ更年期・更年期は食生活を見直すチャンスでもあります
お腹の張りや痛みは、体全体の調子や体力の低下、疲れが大きく影響している症状です。
更年期以降は、今までと全く同じ食事をしていては、生活習慣病などさまざまな病気の原因にもなってきます。食生活を見直すいい機会でもあると考えてください。
1~2年もすると、自分のお腹の調子と体調がわかってきますので、冷たいもの、脂っこいものを加減すれば、それなりに美味しく食事を楽しめるようになります。
▼詳しくはこちらをチェック
お腹周りを温めて、適度な運動も大切

お腹が弱い人は体調を整えるために、体を温めることは大切です。薄手の腹巻きを着用したり、簡易カイロをおへその下や腰に使ったりするのもいいでしょう。
湯舟でゆっくり体を温めて、お風呂上りに、やさしくそっとお腹をマッサージしてみましょう。
ほかには、整腸剤、乳酸菌製剤などを飲むのもいいと思います。消化のよいものを食べて、適度に運動をすることもおすすめです。体全体の血行をよくして、全体を温めます。
40代前半までなら低用量ピル、更年期世代になったら女性ホルモンのエストロゲン剤を使ってみるのも方法だと思います。婦人科のマイドクターを作って、相談しながら、いろいろ試して自分に合う対処法を見つけてください。
▼更年期についてもっと知る
・更年期のはじまりのサインとは? 症状から見る“更年期指数チェック”
・疲れがとれず、すぐにだるくなる…更年期特有の疲れにどう対処する!?
・更年期のメンタルの治療で使う薬の不安。どんな薬? 副作用は?
▼更年期障害の治療ってどんなもの?
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・更年期障害は治療できる! ファーストチョイスとなるホルモン補充療法(HRT)とは?
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増田 美加
(女性医療ジャーナリスト)
女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。
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