人生崖っぷち母ちゃん

「子どもを産めない」女にとって、男の「子どもが欲しい」は心がざわつくが共感もできる言葉。

  • 更新日:2019/07/11
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出産リミットの女性たちの心をざわつかせた、磯野貴理子さんの離婚報道。

元夫の「自分の子どもが欲しい」という想いを磯野さんが受け入れたことが今回の離婚理由でした。


かつて不妊で悩んだ私は磯野さんの離婚がとても他人事には思えず、心に重くズシンと響くニュースでした。


みなさん、こんにちは。

2年間の不妊治療を経て幸いにも息子を授かることができました。漫画家の赤星ポテ子です。

令和元年5月2日。新しい年号のスタートともに「子どもはいるけど離婚」をして、私はシングルマザーとなりました。


男女ともに歳を重ねるほど変化していく「子ども」に対する価値観

元夫が切り出した離婚理由に、ネット上には厳しい意見が多く上がりました。


磯野さんの年齢を考えれば、結婚する前からわかっていたはず!?

今更そんなことを言うなんて無責任!!


……とは言え、たとえ愛を誓った夫婦でも「子どもを持つ」ことへの考え方は、双方で月日とともに変化し更新されていくものです。


磯野さんがプロポーズを受けた当時、磯野さんは48歳、元夫は24歳。24歳の年の差婚。


磯野さんにとって、子どもを産めないことに自分の気持ちの整理が恐らくつきはじめた頃。元夫はお互いが愛し合っていれば、夫婦二人の生活でも楽しいと思っていたか、あるいは妊娠できるかもしれないと当時はまだ思っていた頃かもしれません。


7年間の結婚生活の中で、元夫のまわりの同年代の友人に赤ちゃんが産まれたり、子どもと一緒に休日を過ごす姿を見てうらやましく思うようになったのかもしれません。


子どもの投稿写真に胸がいつもざわついてたあの頃

普段夫婦二人で生活していると、子どもがいる友だちとは徐々に疎遠になり、子どもがいない生活を実感することはありませんでした。

それでも、SNSで知り合いの子どもの投稿写真をうっかり見かける度に「いる生活」と「いない生活」の違いを感じざるを得ませんでした。


知り合いの知らない子どもの写真でフェイスブックはあふれている。

子どもの写真は、夫が私と結婚していなければ経験できたであろう数々の「子どもがいる小さな日常の幸せ」を疑似体験させてくれました。

女友達の投稿写真はそこまで気にならなくても、男性からの投稿はなぜかいつも気になっていました。男性も女性と同じように自分の子どもはカワイイものだと感じさせられました。


「子どもができない」ことを自分が受け入れられても、私のせいで夫が「子どもがいない人生」にさせてしまうかもしれない……。


「子どもを産めない苦しみ(自分に対して)」と「罪悪感(夫に対して)」、二つの黒い感情。


子どもをもう産めない私は、元夫の気持ちも、それを受け入れた磯野さんにも共感。

幸いにも私は息子を授かれましたが、もしあのまま子宝に恵まれず、夫が「自分の子供が欲しい」と言ってきたら、磯野さんのように「勝手じゃないよ、自然なことだよ」と、私も離婚を受け入れていたと思います。


もし私と結婚しなければ、夫は子どもがいる生活を歩めたのかもしれない。

私を支えてくれる夫の遺伝子をどうしても残してあげたい。


不妊原因が自分にあったので、息子を授かるまで恐らく磯野さんが感じていたような負い目を常に夫に対して感じていました。

卵子提供エージェンシーの個別面談に参加するほど、私は精神的に追い詰められていました。


息子が産まれ、夫に対する「子どもを産めない」罪悪感はなくなりましたが、今度は「もう一人子どもを産むことができなかった」ことへの罪悪感を息子に対し持ちはじめるようになりました。


子供がいてもいなくても、結婚生活を維持するのは簡単な事ではない。

磯野さんの離婚は、「子どもがいない結婚生活は継続が難しい」と世の出産適齢期の女性達を不安にさせたニュースでした。

赤星家の場合、「子どもを持つ持たない」という価値観の不一致ではなく、性格の不一致で最終的に離婚にいたりました。


「子どもがいる生活」も「子どもがいない生活」も、どちらも結婚生活を維持することは難しい。

「子はかすがい」と言われていますが、子どもがいるから離婚を踏みとどまることがあっても、離婚にいたらないわけでもないのです。

産後クライシスという言葉があるように、「子どもがいる」夫婦でも生活の変化から産後離婚の危機に陥る夫婦は珍しくないと言われています。NPO法人マドレボニータ「産後白書」によると、「産後、離婚が頭に浮かんだことのある女性は約5割にも上るそうです。


結局夫婦は他人同士。自分と同じ人間でもなく、血がつながった親子でもないのです。

子どもがいてもいなくても、価値観の違いや性格の不一致で夫婦が衝突することは日常茶飯事。


たとえ似た価値観を持っていたとしても、長い年月を経てずれていくことは自然なことで、全てをすり合わせ続けるのは非常に難しいものです。

だからこそ、話し合いを繰り返し、ときに相手の価値観を尊重し譲ったりと、お互いを思いやれるのが理想だと不妊治療・離婚を経て学びました。


離婚理由は夫婦によって千差万別なので、今回の磯野さんのご夫婦の離婚についてまわりがアリ・ナシと判断するものでもないし、できるものでもありません。


すり合わせが難しい「自分の子どもが欲しい」という価値観による離婚は、磯野さんご夫婦にとって最善の判断だったと私は思います。



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#18『「二人目が欲しい」その想い、本当は誰のため?』


#19『子鉄にはたまらない!?一泊2500円から泊まれる寝台列車の旅』


#20『子どもが言うことを聞かない時はどうすればいい?年代別で見る最終手段に今さらながら後悔』


#21『子どもの「ユーチューバーになりたい」夢はダメですか…!?』



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  • 赤星ポテ子 (イラストレーター&漫画家)

    武蔵野美術大学卒。不妊治療を経て一児の母に。いつか息子と海外移住できることを夢みている。 著者「ベビ待ちバイブル」「子どもにちゃんと伝わるお金の「しつけ」」(共著)など

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