プレスリリース溶連菌が流行中

今年は溶連菌が流行中!子どもだけでなく大人も予防対策を!

  • 更新日:2019/06/19

 溶連菌感染症といえば、お子さんのいるご家庭では聞き馴染みのある病気ではないでしょうか。しかし、実は大人にも感染し、咽頭炎などの典型的な症状が出ることもあるのだそう。家族でレジャーなどに出かける機会の増える季節だからこそ、予防をしっかりとしておきましょう! ということで、国立研究開発法人 国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンターの日馬由貴先生に聞く、溶連菌の予防対策と注意事項をご紹介します。


溶連菌流行中!溶連菌についての正しい知識を身に着けよう

2019年は溶連菌が流行する年

 細菌やウイルスによる感染症は、不定期に流行がやってきます。そしてどうやら今年は、溶連菌が流行る年なんだとか。


 「溶連菌」と一般的にいわれる病原菌の正式名称は「A群溶血性連鎖球菌」。溶連菌による病気の中では咽頭炎の頻度が最も高く、咽頭炎の典型的な症状は、のどの痛みと熱です。風邪との違いは、咳や鼻水の症状があまり見られないことで、日馬先生によると、お腹が痛い、気持ちが悪い、頭が痛いなどの症状がいっしょに出ることがあるそうです。しかし、3歳未満のお子さんでは、そのような典型的な症状を示さず、鼻水や鼻づまりが目立つこともあります。


 潜伏期間は2~5日で、医療機関の検査で溶連菌と分かれば、10日間の抗菌薬(抗生物質)を服用して治療を行います。


 怖いのは、合併症。発症件数は少ないですが、関節や心臓の弁膜に障害を起こすリウマチ熱、腎臓の機能に障害が起こる急性糸球体腎炎につながることがあります。溶連菌の感染症には、菌そのものが暴れることにより生じる症状と、菌への免疫反応による症状があります。咽頭炎は前者で、リウマチ熱や糸球体腎炎は後者になります。


 特に、リウマチ熱は生涯にわたって後遺症を残す可能性もある病気なので、軽く考えずに溶連菌について正しい情報を知ることが大切です。


 また、溶連菌によっては筋膜に壊死を起こしたり、毒素性のショック症状を起こして多臓器に障害を与えたりするなど、命にかかわる病気を起こすタイプもあるそうです(劇症型溶連菌感染症と呼ばれています)。子どもがいる家庭では日常的に耳にする細菌ですが、恐ろしい側面もあるようです。


溶連菌の写真

<溶連菌>


予防で重要なことはやっぱり“手洗い” に尽きる!

溶連菌予防にはやはり手洗いを

 溶連菌の感染経路は、風邪やインフルエンザと同じように飛沫感染です。咳や鼻水が出ないのに不思議に思われるかもしれませんが、溶連菌はのどのあたりに棲みつく傾向があり、しゃべったり、くしゃみのしぶきに混じったりして飛散します。飛散した菌が手を介してドアノブやおもちゃなどに付着し、それをほかの誰かが触ることで、次の人へと感染していきます。人が集まる場所で感染が起こりやすいため、長期の休みの間は、感染件数が減少傾向にあります。


 予防法は、なんといっても手洗いです。免疫力を高める予防法はさまざまなものが挙げられますが、有効性が証明されているものはありません。外から帰ってきた時や、ごはんを食べる前には、必ずしっかりと手洗いをしましょう。


自己判断は禁物!溶連菌を疑ったらまず医療機関へ

溶連菌の恐れがある場合は医療機関を受診すべき

 注意したいのは自己判断。「のどが痛い」と子どもが訴えた時に、溶連菌が流行っているからといって、すぐに溶連菌と判断しないようにしましょう。以前、溶連菌にかかった時に処方された薬や、他の子どもに処方された溶連菌の薬が自宅に残っていても、自己判断で与えるのはやめてほしいと日馬先生は注意を促しています。


 溶連菌を疑ったら、まずは医療機関にかかり検査の必要性の有無を仰ぎましょう。誰でも検査を行えばよいわけではなく、3歳未満なら合併症の心配が少ないため、検査を行わないこともあるようです。


 また、悪さをしない溶連菌がのどに潜んでいる子どもが、5人に1人程度いるそうで、このような場合は、ウイルス性の風邪が原因でのどの痛みが起こっているにもかかわらず、検査をすると溶連菌の反応が出てしまいます。このときには抗菌薬を使う必要はなく、医師の判断に従うことが大切です。


医師の指示に従い、処方された抗菌薬はすべて飲み切る

処方された薬はすべて飲み切ることが大切

 治療のゴールは症状を抑えることだけでなく、合併症の発症を防ぐこと。10日間の抗菌薬(抗生物質)は長いと思われるかもしれませんが、合併症を防ぐために、途中でやめずに指示された期間、飲み切ることが重要です。ペニシリン系の抗菌薬は広く使われているため、家庭に残っているものがあるかもしれませんが、自己判断で使用しないようご注意を。抗菌薬はそれを飲む人に合わせて処方されており、自己判断で飲むと思わぬ副作用の原因となることがあります。もしも、残ってしまった抗菌薬があれば、薬局や医療機関にもっていって処分してもらうのが安全です。


 抗菌薬は、ターゲットの菌だけでなく体にとって良い菌も殺してしまいます。抗菌薬による下痢の症状が多いのは腸内の細菌も殺してしまうためと言われています。日馬先生によると、少し便が緩くなっても、他に症状がなく、便をする回数が増えていなければ、大きな心配はないそうです。慌てて自己判断で内服をやめたりせず、困ったときは医師に相談することが大切です。また、医師に抗菌薬は必要ありません、といわれたら「念のため」などと要求せずに指示に従いましょう。


 抗菌薬の過剰な使用、間違った使用によって、薬が効かない薬剤耐性菌が生まれることがわかっています。薬剤耐性という言葉はなじみが薄いかもしれませんが、現在、世界で問題とされています。*3


 薬剤耐性菌が広がれば、薬が効かず命を失う日が来てしまうかもしれません。 他人ごとではなく、自分や大切な家族に降りかかるかもしれないのです。感染症を学ぶことをきっかけに、薬剤耐性菌も頭に入れておきたい重要事項です。


*1 東京都感染症情報センター A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

*2 NIID 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

   国立感染症研究所 IDWR速報データ 2019年第23週

*3 Antimicrobial Resistance: Tackling a crisis for health and wealth of nations, the O’neill Commission, UK, December 2014



 溶連菌の主な症状は、発熱と喉の痛み。子どもの病気のイメージが強いかもしれませんが、大人もかかりますし、その感染力はとても強いとされています。また春から初夏にかけて流行すると言われており、ピークは少し過ぎたかもしれませんが、引き続き注意を怠らないようにしましょう!



【参考】

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンター

  • 女子カレ編集部

    女性のココロとカラダに寄り添うサービス『女子カレ』の編集部。主に「今」お届けしたい情報をお届けします。

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