プレスリリース毎日800人以上の女性が命を落とす妊娠合併症について

妊娠合併症によって毎日800人以上の女性が命を落としている現状

  • 更新日:2019/06/12

 妊娠合併症とは、妊娠中にだけ発生する問題のこと。たとえば、胎盤の位置の異常といった合併症が起きると、最終的には胎児の死亡や出血過多のリスクが生じるなど、非常に危険とされています※。

 今回は、そんな妊娠を希望する女性なら知っておきたい妊娠合併症について、ユニセフの報告から世界の現状をお伝えします。


※MSDマニュアル家庭版「妊娠の合併症に関する序」


妊婦を医療ケアから遠ざける根本的な原因は……?

モンゴルの母親と赤ちゃん

モンゴルの保健センターで、生まれたばかりの赤ちゃんを抱く母親。© UNICEF_UN0155822_Zammit


 先日、ユニセフ(国連児童基金)は「周産期ケアの実態調査:健康な母親と赤ちゃんのために(原題:Healthy Mothers, Healthy Babies: Taking stock of maternal health)」という報告書を発表。その中で、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ・カリブ海諸国に暮らす500万以上の世帯が毎年、食品以外の生活費の40%以上を周産期ケアに費やしていると述べています。


 報告書によると、出産前のケアや出産時ケアにかかる費用が、妊婦を医療ケアから遠ざける要因となり、母子の命を危険に晒しているといいます。

 このことに関して、 ユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォア氏は「家族が生活費のために周産期ケアの費用を削減することによって、母親と新生児の両方が苦しむことになる」とコメント。


貧しい国ではまだまだ周産期ケアが不十分であるという現状

 さらに、 報告書には世界の女性たちが周産期ケアを受けられる状態は改善しているものの、いまでも毎日800人以上の女性が妊娠に関連した合併症で命を落としていると書かれています。


 医師、看護師、助産師は母親の命を守るために重要な役割を担っていますが、毎年数百万件もの出産はこれら専門技能者の付き添いがない中で行われているのだそう。報告書によると、2010年から2017年の間に、多くの国で保健分野の専門技能者の割合(人口1万人あたり)は増加しています。しかし、妊産婦死亡率と新生児死亡率の高い最も貧しい国々における割合の増加はわずかなものに過ぎません。例えば、2010年から2017年の間に、モザンビークで、人口1万人あたりの保健専門技能者の割合は4人から5人に、エチオピアでは3人から9人に微増しました。一方、同時期のノルウェーの割合は213人から228人に増えています。


ベトナムの母親と赤ちゃん

ベトナムの少数民族モン族の家庭で、2歳の男の子と生まれたばかりの赤ちゃんを抱える20歳の母親。© UNICEF_UN0288016_Viet Hung


10代後半の女性は、妊娠中に合併症を発症するリスク大

 報告書はさらに、妊娠に関連する合併症が世界の15歳から19歳の女の子の最大の死因であると指摘。10代後半の女の子はまだ成長過程にあるために、妊娠した場合に合併症を発症するリスクが極めて高いのだそう。また、彼女たちの子どもは5歳の誕生日を迎える前に亡くなるリスクがより高くなります。しかし、児童婚(18歳未満での結婚)をした女の子が妊娠した際に適切な医療ケアを受けたり、保健施設で出産する確率は、おとなになって結婚した女性と比べて低いとの報告もあります。


「最も貧しく、最も弱い立場にある母親たちに、私たちは質の高いケアを提供できていません」とフォア氏。また、彼女は「あまりに多くの母親たちが、特に出産時において、そして生涯にわたり苦痛に悩まされています。私たちが、専門技能者、機能的な保健施設、そしてより質の高い周産期ケアを提供することで、彼女たちの苦痛を終わらせ、何百万もの命を守ることができるのです」と語っています。


解決法とその実現要求するユニセフの世界キャンペーン

 ユニセフのキャンペーン「Every Child ALIVE」では、各国政府、保健ケア従事者、ドナー、民間セクター、家庭や経済界に対して、すべての母子の命を守るために次のことを求めます。


1.保健制度への資金投資を、コミュニティ・レベルから行うこと

2.十分な数の周産期ケアおよび新生児ケアを専門とした医師、看護師、および助産師を、雇用、研修、維持、ならびに管理すること

3.すべての母親と赤ちゃんが通える場所に、水、石けん、電気が備えられた、清潔で機能的な保健施設を確保すること

4.すべての母親と赤ちゃんの命を守るための医薬品ならびに健やかな人生を歩み始めるために必要な機材の提供を優先すること

5.質の高いケアを要求し受けられるようにするため、10代の女の子とその家族をエンパワーすること



 筆者にとって、世界で毎日800人以上の女性が妊娠合併症によって命を落としているということは衝撃の事実でした。現代日本に生きている私たちにとっては現実味のない話かもしれませんが、貧しい国ではまだまだ周産期ケアが不十分というのが悲しい現状です。すべての母子の命を守るためにも、募金など身近なことでも自分にできることがあれば実行に移したいですね。



【参考】

公益財団法人日本ユニセフ協会


■ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます

※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています


■日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。

  • 女子カレ編集部

    女性のココロとカラダに寄り添うサービス『女子カレ』の編集部。主に「今」お届けしたい情報をお届けします。

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