美容

「自分の自尊心を育てる美容」という、令和時代の美容論

  • 更新日:2019/09/05

各方面から「いいよ!」というオススメの声を聞いており、自分自身も気になっていた長田 杏奈さんの『美容は自尊心の筋トレ』を、ちょっぴり遅れながらも先日読了しました。


「美容」という言葉がタイトルに含まれながらも、コスメやメイク方法などの写真が一切ないこの本は、「よし!明日から私も“美”を目指して頑張るぞ!」と、ぎらぎらのモチベーションを奮い立たせるような従来の美容本とは一線を画していました。


自分を労わることを助けるための美容、手に取る人がホッと一息つきながら「ちょっとキレイを目指そうかな」と一歩踏み出せるような安心感や包容力のある本でした。


美容は怖い?ルッキズムの根源? 不安を塗り替える言葉の数々

美容にまつわる記事を多く執筆してきた著者が綴る言葉の数々は、ご本人が記載するように「美容ってちょっと怖い」と身構えてしまう気持ちを解きほぐしてくれ、「大丈夫だよ~怖くないよ~」と語りかけてくるよう。


私も「美容」を語ることへの恐怖心がよぎることがあります。それは「世間の基準に沿った美しさを持つ人間しか、美について語ってはいけないのではないか?」という無意識のブレーキが心にかかるからです。


しかし、この本はそういった恐怖心や不安感を「わかるよ、その気持ち」といったん寄り添った上で「しかし、こんな解決法や考え方がございまして」と、長田さんの言葉でわかりやすく提示してくれるのです。


自分を愛する、自尊心を育てる。でも、どうやって? へのアンサー

迷う女性

「自分を愛しましょう」

「自分を大事にしましょう」

「自尊心を高く持ちましょう」

そんな言葉は、世の中に溢れています。


私たちはその言葉の意味を完全に理解しているわけではないけれど、ぼんやりと「自分を大事にせねば」ということだけ感じ取って「自信を持たないといけないらしい」と無意識に自分を縛ってしまいます。


だけど、「もともと特別なオンリーワン」と繰り返し聞かされても「私は特別だし、唯一無二な存在!」と勝手に自信がうまれるわけでも、自尊心が育つわけでもないのが難点です。


また、自尊心は自分自身で作り上げる側面と他者からの承認によって与えられる側面があり、両方をバランスよく摂取しながら育てる必要があります。しかし、「自分を大事に」というフレーズだけが一人歩きして、実際の「どう大事にするの?」に明確なアンサーがないために、苦悩する人は多いのではないでしょうか。


そこに、「美容」という手段を利用した育成方法を提示してくれているのが、この『美容は自尊心の筋トレ』だといえます。


降りかかる呪いの数々に終止符を

さまざまな女性

「痩せていなくては美しくない」

「女は若くないと価値がない」

「目は二重で鼻は高く、色は白くなきゃ」


世の中にはまだ「女の容姿を自由にジャッジメントしていいのだ」という失礼な考えを持っている人がいて、自分でも気がつかないうちに呪われていることがある。普段は跳ね返せている人でも、心が弱った瞬間に呪いに捕まりそうになることもあります。


だけど、古い価値観に支配されて「自分は“キレイ”からここがズレてる」と自分をいじめ続けても、心が疲弊していいことなんてありません。この本のメッセージである「自分の愛し方を手助けする美容」は、従来通りの美の形にがんじがらめになって苦しくなる時の呼吸法を教えてくれます。


美容は窮屈なものではなく、カンフル剤

しいたけの中華麺

ページをめくるごとに「せやな」と頷き、不安を打ち消してもらいながら読み終わった先にあるあとがきに、担当編集さんの言葉として、『美容本のコーナーではなく、フェミニズム本のコーナーに置いてもらえる一冊にしたい』というコメントが記載されていましたが、まさに!と膝を打ちました。


この本が持つパワーやテーマを強く表していることはもちろん、長田さんと編集者の児玉さんが目指したものに感動すらする一文でした。


誰に強制されるでもなく、基準に合わせにいくわけでもない。令和の美容本に相応しい一冊でした。



▼バックナンバー

・目指すもの × 好きなもの × 似合うもの。自分らしさとは「好き」の結晶体である【後編】


・目指すもの × 好きなもの × 似合うもの。自分らしさとは「好き」の結晶体である【前編】


・化粧も、美容も、「誰かのため」なわけじゃない。自分を形作る一部である。


・自分の気持ちを奮い立たせる「化粧品」というお守り

・恋したコスメが廃盤になる女が力説する「欲しい物は即買え」コール&今のオススメ4選


・恋したコスメへのラブレター。CHICCA終了に寄せて。


  • ぱぴこ (外資系OL ときどき ライター)

    外資系ときどき激務OL。オシャレとズボラの狭間に生息し、ストレスを課金で潰すことに余念がない。趣味はNetflix、お酒、豚を塩漬けにすること。目標はゆとりのある生活(物理)

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